- ワクチン接種後に赤く腫れ上がったり、熱が出るのが怖いです
- あらかじめ解熱薬を使用すると改善しますか?
ワクチン接種後には、痛みが生じたり、熱が出ることがあるため、解熱薬の使用を希望される方もいると思います。
また、あらかじめこういった副反応が起こらないよう「予防的に解熱・鎮痛薬を」と考える方もいるようですが、実際のところ予防効果は本当にあるのでしょうか。
アセトアミノフェンを使用した研究は複数あり、今回は、0〜1歳の小児において、6価ワクチン+肺炎球菌ワクチン接種直後に使用した研究をご紹介します。
- ワクチン接種後の解熱薬を予防的に投与することの是非を検討した論文
- 発熱や著しい不機嫌のリスクは減る印象
- 抗体獲得への影響は評価されていない
BMC Pediatrics 2013, 13:98
パラセタモール=アセトアミノフェンです
アセトアミノフェンは、ワクチン接種直後に使用すると、発熱などのリスクは減少するか?
研究の背景/目的
2つの臨床試験において, ワクチン接種後の発熱は, 別々の投与後よりも同時投与後により高頻度に観察された。
発熱はワクチン忍容性の重要な問題である。
著者らはドイツで6価ワクチン(ジフテリア・破傷風・無細胞百日咳・B型肝炎,ポリオウイルス,インフルエンザ菌b型ワクチン [DTPA-HBV-IPV/Hib])と7価肺炎球菌結合型ワクチン (PCV‐7) を投与された小児におけるパラセタモール(アセトアミノフェンベヌロン®)の予防的使用の有効性と安全性に関するオープンラベル研究を実施した。
研究の方法
PCV‐7とDTPA‐HBV‐IPV/Hibの乳児および幼児シリーズ(合計4回)を投与した健康な乳児(301例)を, 1:1の割合でランダム化比較試験を行なった。
ワクチン接種時とその後6~8時間間隔での予防的パラセタモール(体重に基づき125 mgまたは250 mgの坐剤)またはパラセタモールを投与しなかったコントロール群に無作為に割り当てた。
ワクチン接種後4日間、直腸温および局所および他の全身反応を測定した。
さらに、有害事象は試験期間を通じて収集された。
研究の結果
Intent-to-treat解析を行った。
パラセタモールは38°C以上の発熱の発生率を低下させたが、この低下は乳児を対象としたシリーズで効果が大きく、乳児の有効性は43.0% (95%信頼区間 [CI] 17.4, 61.2)であり、幼児への投与後には(有効率15.9%;95%信頼区間:-19.9, 41.3)であった。
結果は治験実施計画書に適合した (PP:per-protocol) 集団で同様であった。
乳児シリーズでは39°Cを超える発熱はまれであり,評価するには症例が少なすぎた。
幼児において、ワクチン接種後のパラセタモールは39°C以上の発熱を効果的に減少させ, PP集団においてのみ統計的有意差を認めた(有効率79%;95%信頼区間:3.9, 97.7)。
パラセタモールも反応原性を低下させたが,いずれの用量でも群間の差はほとんどなかった。
ワクチン関連の重篤な有害事象は報告されなかった。
結論
パラセタモールは主に乳児期の発熱およびその他の反応を効果的に予防した。
しかし、イベントは一般的に軽度であり、いずれのグループにも懸念はなかったことから、われわれのデータは、パラセタモールを投与して症状のみを治療し、ルーチンの予防には使用しないという現在の推奨を支持している。
考察と感想
ドイツの22施設で行われたRCTのようですね。対象となったのは、2、3、4ヶ月と11〜14ヶ月の小児です。
アセトアミノフェン(A)は、ワクチン接種直後から6時間おきに投与されたようです。
A | C | |
発熱>38 | ||
乳児 | 43% | 75.4% |
幼児 | 53.7% | 63.9% |
(A=アセトアミノフェン;C=コントロール)
ITT解析で見ると、乳児の方が予防効果は大きい印象ですね。発疹、不機嫌、傾眠、食欲低下なども解熱薬を投与した方が頻度は少ない傾向にあったようです。
結果としては、発熱や食事の拒否、不機嫌といった頻度は、アセトアミノフェンを投与したグループの方がリスクは低い印象でした。
一方で、この研究が発表された時期に、ワクチン接種の直前・直後に予防的に解熱薬を使用すると、抗体の獲得率が低下するという結果が報告されたようです。
このため著者らも、積極的にルーチンに推奨するのではなく、症状を認めた場合の使用を推奨しています。
まとめ
今回は、ドイツで行われた研究で、ワクチン接種後の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)の使用が、発熱などの有害事象のリスクを軽減するかみています。
ワクチン接種直後に解熱薬を使用したグループは、発熱のリスクはやや低く、著しい不機嫌となる可能性も低かったようです。
一方で、この研究では、過去の研究で懸念されていた抗体獲得への影響は評価されていません。
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