この論文は、小児急性腎盂腎炎(APN)における腎瘢痕形成の減少に対する補助的なステロイド投与の有効性と安全性に関する現行文献の要約を提供することを目的としたメタアナリシスです。
小児急性腎盂腎炎(APN)における腎瘢痕形成の減少に対する補助的なステロイド投与の有効性と安全性
研究の背景/目的
小児のAPNは、腎瘢痕を引き起こし、永久的な腎損傷の主要な原因の一つです。発熱性尿路感染症(UTI)1回後の腎瘢痕発生率は2.8~15%と報告されており、3回以上の発熱性UTI後には28.6%に上昇するとされています。ステロイドは、腎瘢痕形成と尿中サイトカインレベルの低下に役割があると考えられています。
研究の方法
最近の無作為化比較試験(RCT)で、小児のAPNにおいて腎瘢痕形成の減少に対する補助的なステロイド投与の利益が検討されました。
このメタアナリシスは、2022年10月12日までの、小児のAPNにおいて腎瘢痕の予防における補助的なステロイドの有効性と安全性を検討したRCTを対象とした広範な文献検索(PubMed/MEDLINEおよびScopus)を行いました。二項的なアウトカムには95%信頼区間(CI)を持つリスク比が使用されました。
研究の結果
合計で、5つのRCTが含まれ、918人のAPNの小児患者が研究に参加しました。補助的なステロイド治療は、腎瘢痕の有意な減少(95% CI 0.42-0.95、p = 0.03)を示しましたが、細菌血症、入院期間の延長、UTIの再発などの有害事象のリスクは増加しませんでした。
この研究にはいくつかの限界がありました。
サンプルサイズが498人の小児に限られていたこと、異なるステロイドのクラス(メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン)が使用されていたこと、ステロイドの投与経路(静脈内または経口)、および異なる日数コース(3日間または4日間コース)があったことが挙げられます。
結論
補助的なステロイド投与は、小児のAPNにおける腎瘢痕減少に有益な効果があるように見えます。今後の研究では、APN後の腎瘢痕減少におけるステロイドの有効性と安全性の評価に焦点を当てることで、本研究の結果を裏付けるべきです。
考察と感想
小児の急性腎盂腎炎(APN)に対する補助的なステロイド治療の有益性について興味深い知見が得られたと感じます。腎瘢痕の減少は、将来の腎機能障害や高血圧のリスクを低減する可能性があります。このメタアナリシスにより、補助的なステロイド治療が腎瘢痕形成の減少に役立つことが示されましたが、サンプルサイズが限られているため、より大規模な研究が必要です。
また、ステロイドの種類や投与経路、治療期間に関する違いが報告されているため、最適な治療法や投与量を特定するために、これらの要素についての追加研究が必要です。
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