今回は、「小児は新型コロナウイルスにかかりにくい?」に対する考察をした論文を紹介しようと思います。
あまり根拠のある内容ではありませんでしたが、台湾の研究者・医師らの見解です。あくまで参考程度に留めておくのが良いでしょう。
オープンアクセス論文ですので、気になる方は原著を読んでみてください↑
- 小児に感染者数が少ない理由の考察
- 成人と比較して、外出する機会が少なく、その範囲が狭いこと
- ACE2受容体が予防的に関与している?
小児で感染が少ない理由の考察
台湾の小児科医や医師からの考察になりますが、「Are children less susceptible to COVID-19?」と題して論文を発表しています。
あまりエビデンスに基づいた内容ではありませんが、一通り読んでみたので、こちらにメモ程度に記載しておこうと思います。
理由1:社会的な要因?
成人と比較して、屋外の活動が少なく、海外旅行・移動も少ないため、ウイルスに接触する機会が少なかったから、が1つの理由として考えられます。
この場合、小児の患者数は遅れて増加してくるかもしれません。国外の流行地域でも、学校を再開した場合に小児の患者数がどうなるかは注目すべきかもしれませんね。
理由2:ウイルスの特徴?
一般的に小児(特に乳児や新生児)は感染症に弱い傾向にありますが、全ての感染症で当てはまるわけではありません。
例えば、風疹は、年齢の低い小児より、10代や成人の方が全身状態が顕著に出やすい傾向にあります。
2002年に中国で発生したSARSでは、基礎疾患のある高齢者の致死率は50%程度であったのに対し、小児での致死率は0%でした。
小児において、ACE2の成熟度や機能(例:結合能)は成人よりも低い可能性があります。このため、小児は新型コロナウイルスに対して感受性が低いとも推測されています。
感想と考察
小児で重症化が起こらないわけではありません。過去の研究結果を見ても、成人ほど重症化や致死率が高いわけではありませんが、小児でも重症化しています。
小児の重症化や死亡率が低い理由は今のところよく分かっていません。特に理由1が本当であった場合、学校再開、社会的な活動が再開したときに、小児で爆発的に感染が増えてしまう可能性もあり得ると思います。ただ、これも実際のところ再開して見ないとわからないことで、手探りで様子を見るしかないのでしょう。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、徐々に情報が増えてきた印象です。現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 新型コロナウイルスに小児が感染しにくい理由の考察
についてアップデートさせていただきました。
科学的な内容ではなかったですが、読み物としては面白かったです。
引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。
新刊(医学書):小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス
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日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
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