賢明な医療の選択

自閉症の子どもにおいて、尿中の金属やミネラルをルーチンに検査しない[Choosing wisely]

今回は、自閉症と金属の尿検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
自閉症と金属の尿検査に関して、教えてください

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:自閉症と金属の尿検査
  •  ルーチンで検査をしない

American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

自閉症の子どもにおいて、尿中の金属やミネラルをルーチンに検査しない[Choosing wisely]

Do not routinely test urine for metals and minerals in children with autistic behaviors. Toxicologic exposures have not been conclusively associated with the development of autistic behaviors in children. Testing for metals and minerals may be harmful if treatment is guided on the basis of these results.

Thimerosol or ethylmercury has been used as a preservative in multidose vaccine vials and have been blamed for the increase in autism rates over the past 2 decades. However, studies have failed to show a causative link between environmental exposures and the development of these symptoms. As symptoms of autism occur early in childhood and, possibly, months to years after any potential exposure may have resulted in neurotoxicity, the likelihood of continued presence of such toxicant is low. Parents, however, may be desperate for answers and seek out alternative sources for information and receive advice to obtain laboratory analysis for minerals and metals as causative agents without insurance reimbursement. Finding an abnormal result has led to ill-advised treatments and death in some patients.

自閉症行動のある子どもの尿中の金属やミネラルをルーチンに検査しない。毒物への暴露は、子供の自閉症行動の発生と決定的に関連していない。金属やミネラルの検査は、その結果に基づいて治療を行う場合には有害となる可能性があります。

チメロサールまたはエチル水銀は、ワクチンの防腐剤として使用されており、過去20年間における自閉症率の上昇の原因と非難されることがあるようです。しかし、これまでの研究では、環境への曝露と自閉症の発症との因果関係を示すことはできませんでした。

自閉症の症状は幼少期の早い段階で発生し、神経毒性が発生してから数ヶ月から数年後に発生する可能性があることから、そのような毒性物質が継続的に存在する可能性は低いと考えられます。

一部の保護者は、このことに失望し、別の情報源を探し、自閉症の原因物質として鉱物や金属の検査を受けることがある。異常な結果が出たために、誤った治療が行われるリスクもあります。

考察と感想

自閉症と金属の尿検査に関してでした。

関連性に関しては不確実なため、尿検査はルーチンで行わないというのは、その通りと思います。また、検査をする前に曝露歴をしっかりと確認する必要もあるでしょう。

参考文献も読んでみようと思います:

Modabbernia A, Velthorst E, Reichenberg A. Environmental risk factors for autism, an evidence-based review of systematic reviews and meta-analyses. Mol Autism. 2017;8:13

Baxter AJ, Krenzelok EP. Pediatric fatality secondary to EDTA chelation. Clin Toxicol. 2008;46(10):1083-1084

James S, Stevenson SW, Silove N, Williams K. Chelation for autism spectrum disorder (ASD). Cochrane Database Syst Rev. 2015;(11):CD010766

まとめ

今回は、自閉症と金属の尿検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。