エキナセアは、かぜ症状(急性上気道感染症の症状)をはじめとする、様々な状態において、治療薬としてよく使用されているようです。
エキナセアを最初に使用したのは、アメリカのインディアンです。
エキナセアは、アメリカの中央部と南西部で見られる植物で、咳、のどの痛み、扁桃炎など、さまざまな症状に使われています。
様々な種類のエキナセアが存在しており、代表的な植物としては
Echinacea purpurea, Echinacea pallidaおよびEchinacea angustifolia
が挙げられ、感冒の治療に使用されている。
北米でのエキナセアの使用は1900年代初期にピークに達したが、抗生物質の登場と、医学雑誌で非難されたため、その使用は激減したています。
しかし 、ハーブ療法(Herbal medicine)の使用が急増したため、米国におけるエキナセアへの支出は年間30億ドルにまで増加したという報告もあるようです。
(推奨ではありません)
今回は、エキナセアが小児の再発性の扁桃腺炎に有効かを検証した研究です。
- アジスロマイシンやエキナセアが扁桃腺炎の再発予防に有効かを検証
- アジスロマイシン使用は再発回数を減らす印象
- エキナセアはさらに相加効果があるか検討
Am J Otolaryngol. 2020 July-August; 41(4): 102344.
日本では一般的に使用されていないので、注意しましょう。
エキナセアやオステオパシーは小児の中耳炎に有効?
研究の背景/目的
小児における再発性扁桃炎は, 小児の生活の質に影響を及ぼす一般的な疾患である。
再発性扁桃腺炎では繰り返し発熱や喉の痛みを訴え、場合によっては欠席が必要となるため、その影響は家族にも及ぶ。
本研究の目的は, 再発性扁桃炎の小児における経口アジスロマイシン (AZT) とエキナセアの併用の効果を, AZTの単独使用と比較して評価することであった。
研究の方法
再発性扁桃炎の5〜14歳の小児を3群に分けて行われたランダム化比較研究です。
対象となったのは、
- 1年前に年間7回以上の扁桃炎
- 過去2年間で1年あたり5回以上の扁桃炎
- 過去3年間で1年あたり3回以上の扁桃炎
を認めた小児としています。
治療
本研究は
- 予防なし
- アジスロマイシンを毎月6日間、6ヶ月にわたり内服
- 上記の治療+市販のエキナセアを5 ml
の3グループで行われた。
研究の結果
グループ2(アジスロマイシン単剤)とグループ3(アジスロマイシン+エキナセア)は, 6か月の予防治療中の扁桃炎発作の数と評価した症状の重症度が少ない傾向にあった。
グループ3(アジスロマイシン+エキナセア)は グループ2(アジスロマイシン単剤)と比較して良好なアウトカムの傾向があったが、 予防を行った患者ではあまり差はなかった。
結論
再発性扁桃腺炎の小児患者において, アジスロマイシンとエキナセアの併用はアジスロマイシン単独より良好な転帰をもたらすかもしれない。
考察と感想
研究結果は以下の通りでした:
図は論文を参照
この場合、前後比較が重要になるので、その差を見る必要があります
グループ | 1 | 2 | 3 |
扁桃炎の回数 | 0 | -2 | -3 |
欠席日数 | -1 | -5 | -6 |
嚥下困難 | 0 | -3 | -6 |
発熱 | -1 | -3 | -6 |
体の痛み | 0 | -5 | -6 |
関節痛 | 0 | -4 | -6 |
こうしてもると、コントロールよりアジスロマイシン単剤の方が、アジスロマイシン単剤よりエキナセア併用の方が良さそうなデータですね。
この研究における問題点ですが、まず盲検化されていません。治療を行った人も、患者も、どの治療を割り当てられたか分かっている状況でやっています。このため、様々なアウトカムの指標に影響している可能性があり得ます。
また、今回の研究はRCTですが、なぜか著者は1人のみです。通常、RCTを一人で行うケースはほとんどなく、医療機関で複数の医療者で行われます。
こういった背景から、私はこの結果には懸念が残っています。
まとめ
再発性の扁桃腺炎に対して、アジスロマイシンやエキナセアの併用が有効かを検証した結果です。
アジスロマイシンを定期的に内服した方が、扁桃腺炎の頻度や症状の再発は減少する傾向にありそうです。
エキナセアを併用するとさらに効果が上乗せされていそうにも見えますが、研究のデザイン上で生じてしまったバイアスの懸念は拭えないです。
小児で使用される咳止めのエビデンスをまとめたnoteもあります。
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