トイレトレーニングを語る上で、世代間の考え方の違いを理解することは重要です。
祖父母世代の考え方と、現在の父母世代の考え方が異なり、衝突なんてことは日常茶飯事なのかもしれません。
どうやら、この現象が世界各国でも起こっているようです。
2000年にベルギーかた発表された面白い研究がありました。
この研究では、世代によってトイレトレーニングの開始時期であったり、その方法がどのように推移しているのかを検討しています。
トイレトレーニングは子育ての方法論の1つです。
方法論は、時代が経過しても変わらないものもあれば、時代とともに変化するものもあります。
きちんと、そのトレンドを理解して、お互いにコミュニケーションをする方が、「自分たちはXXであった」「今の時代はXX」などど衝突するより、建設的かもしれませんね。
- トイレトレーニングの開始時期や方法のトレンドを見た研究
- 1920-40年生まれの親は、早期に開始していた
- 1960年以降の親は、「本人の要求を待つ」というスタイル
研究の方法
1999-2000年にベルギー在住の方々です。質問票を公共の場に設置し(病院・学校など)、回答を集めたようです。
質問は全部で25個あり、
- 背景情報:10
- トイレトレーニング:9
- 排尿・排便コントロール:6
となっています。
研究結果と考察
最終的に321名が参加しています。
グループを以下の3つに分けています:
グループ | 1 | 2 | 3 |
誕生年 | 1920-40 | 1940-60 | 1960- |
年齢 | 60-80 | 40-60 | -40 |
N (親) | 87 | 104 | 130 |
N (子供) | 276 | 262 | 274 |
トイレトレーニングの開始時期
トイレトレーニングの開始時期は以下の通りでした:
グループ | 1 | 2 | 3 |
開始(日中) | |||
< 18ヶ月 | 88% | 50% | 22% |
< 12ヶ月 | 49% | – | – |
開始(夜間) | |||
< 18ヶ月 | 43% | 13% | 5% |
トイレトレーニングの開始時期は、日中も夜間も、昔の方が早かったようですね。
特に昔の世代(グループ1)は「昼寝後にオムツが濡れなくなったから、トレーニングを開始した」と考える方が多かったようです。
一方で、近年の世代(グループ3)は、「プレスクールなどの要望」「夏だから」と言った理由が多かったようです。「トイレトレーニング完了したら通園化」としたプレスクールがあるからでしょうか、必要に駆られて開始している印象です。
その他
その他、使い捨てオムツや、トイトレ用の椅子の使用率なども見ています。トイトレ用の椅子は、通常の椅子に穴が空いていて、すぐに排泄できるように工夫された椅子のようで、古い世代の子育てで使用されていたようです(Potty training chair)。
グループ | 1 | 2 | 3 |
使い捨てオムツ | 3% | 42% | 98% |
トイトレ用椅子 | 63% | ? | 4% |
トイトレ用の椅子(Potty training chair)は、食後にすぐに排泄できるようにということで作られていたようですが、徐々に使用されなくなったようですね。トイレに行って排泄のトレーニングをするように変わっていったようです。
一方で、紙おむつなど使い捨てできるオムツが登場して、徐々に使用率が上がっていますね。紙おむつであれば、洗う手間がなく簡便で、衛生的なため、保護者は好んで使用しているのでしょう。
感想と考察
トイレトレーニングの方法論は時代とともに変化しているようです。昔は「早めに始める」「親が積極的に促す」が主流だったようですが、近年は「本人の要求を待つ」という姿勢に変わっています。
トイレトレーニングを完了させるには、ある程度の発達・神経の成熟が必要で、これはトレーニングによってそこまでトイトレの完了時期を早めることができないという考え方から、徐々に遅くなってきているようです。ゆっくりと本人のペースに合わせて完了を待つよいうスタイルに何十年もかけて変化しているようですね。
この辺りも、根拠となる文献が多数あるようなので、次回以降に言及できればと思います。
まとめ
トイレトレーニングの方法はベルギーにおいても時代とともに変化しているようです。
かつては「早めに始める」「親が積極的に促す」という姿勢から、「本人の要求や適切な時期を待つ」というスタイルに変化しています。
- トイレトレーニングの開始時期や方法のトレンドを見た研究
- 1920-40年生まれの親は、早期に開始していた
- 1960年以降の親は、「本人の要求を待つ」というスタイル