タンニン酸ベルベリン(Berberine Tannate)は、止瀉薬(下痢止め)の1種です。内服すると、腸内で分解され、ベルベリンとタンニン酸に分かれます。
ベルベリンの殺菌・抗炎症作用とタンニン酸の収れん作用によって、下痢に対して有効性を示すと考えられています。
今回はこの止瀉薬に関連した文献をみつけたため、ご紹介させていただこうと思います。
研究の方法
今回の研究は、インドのウダイプルにおいて、127名の下痢の小児を対象にタンニン酸ベルベリンを使用して有効性と安全性を確認しています。ランダム化比較試験ではなく、シングルアームで行われた研究です。
使用した薬には、
- タンニン酸ベルベリン
- ジフェンヒドラミン
- 抗コリン薬
が含まれていました。これを6時間おきに小児に投与しています。
12時間毎に下痢の頻度、形状などを確認しています。
研究の結果と考察
5歳以下の小児が対象となり、下痢の重症度でみると
- 軽症:21人
- 中等症:88人
- 重症: 18人
でした。
参加した127人、全員が薬を内服でき、嘔吐などは無かったようです。
薬の有効性ですが、
- 良好:43人
- わりと良い:44人
- 有効性なし;40人
と判断されたようです。有効性なしと判断された40人のうち13人が死亡しています。
考察と感想
タンニン酸ベルベリンを含む薬を使用して、小児の下痢への有効性を確認していますが、およそ2/3で反応性ありと判断されています。
しかし、この研究はシングルアーム(治療群のみ)で行われたものです。有効性の評価については、コントロール群が必要ですので、今回の研究で有効性を議論するのは難しいでしょう。
また、タンニン酸ベルベリン以外にも薬が入っている点にも留意したほうがよいです。
今回の研究では、自然経過で改善したのか、どの成分が有効であったかはブラックボックスのままです。
まとめ
今回の研究はタンニン酸ベルベリンを含む薬を使用して、小児の下痢への有効性を確認していますが、およそ2/3で反応性ありと判断されています。
しかし、シングルアームで行われた研究であり、有効性を検証するには、RCTをして比較する必要があります。
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