- 『学校・保育園・幼稚園の書類に、血液型の記入欄がありました』
- 『万が一の場合、血液型を知らなくて大丈夫でしょうか?』
- 『なんとなく、知りたいです…』
など、様々な理由で血液型検査を希望して小児科外来に受診されることがあります。
結論からいいますと、学校や保育園・幼稚園の提出書類のために、こどもの血液型を調べる必要はありません。
むしろ、小さなこどもが痛い思いをして血液検査をしても、その「痛み」に見合うだけの情報は得られませんので、お勧めしていません。
血液型を知りたい理由
『こどもの血液型を知りたいんです』と外来に相談にくることが、数ヶ月に数人くらいいます。
受診される理由は様々でして:
- 保育園・幼稚園・小学校に提出する書類に記入欄がある
- 輸血が必要など、万が一に備えたい
- 単純な興味
などが、受診理由として多いです。
入学・入園の書類は必ずしも全て埋めなくても良いです
入園・入学の時の提出書類ですが、血液型の欄は埋めなくてもよいと考えています。
血液型の情報は学校や保育園・幼稚園に必要な医療情報ではありません。
提出書類に必要な医療情報とは?
『必要な医療情報』とは、具体的にいうと、
- 食物アレルギーや喘息などの病気がある
- てんかんなどで、薬を定期的に飲む必要があるか
などが該当します。
「血液型」という記入欄があった場合、本当に全て埋めなければいけないものか、入園・入学先に聞いてみるとよいでしょう。
緊急時に、こどもの血液型を知ってなくて大丈夫ですか?
「万が一の時、こどもの血液型を知っていなくてよいでしょうか?」と質問されることもあります。
例えば、大きな事故にあって、大量出血をしてしまったとしても、血液型を知らなくても大丈夫です。
こどもの血液型は輸血前に病院で検査をします
自己申告の血液型は間違っている可能性があるため、病院では必ず血液型検査をして血液型が合っているか確認をしてから輸血をします。
ですので、知らないでいると、万が一の時に危険ということは、まずありえないでしょう。
血液型でこどもの性格を知りたい?
『書類に必要でもないですし、緊急時に備えたいわけではないです。ですが…』と、お茶を濁す患者さんも時々います。
大体、こういう方の目的は見当ついてます。
「性格占い」をしたいのでしょう。
世の中には、血液型診断の書類が流行っています:
血液型から性格は分かりませんよ
そもそもですが、血液型から性格はわかりません。
血液型と性格の関連性が証明された研究は私の知る限りではありません。
日本以外の国では、自分の血液型を知らない人も沢山います。
血液検査は痛みを伴います
『性格占い』という大人の興味のために、こどもに痛い思いをさせて採血するのは酷でしょう。
血液検査はお子さんにとっても痛みと苦痛を伴う検査です。
小さなお子さんの場合、本人が診察室で暴れてしまうことがあるので、複数の医療者で無理やり抑えることもあります。
このように子供にとって心理的に大きな負担にもなりますので、無駄な検査は控えましょう。