書評

[読書日記] 2020年5月〜6月に読んだ書籍 [Dr. KIDの本棚]

5月くらいから、ちょこちょこと色んな本を読んで、Twitterでつぶやいています。

5〜6月は以下の4冊本を読みました:

  •  心にしみる皮膚の話
  •  小児・思春期の頭痛の診かた: これならできる! 頭痛専門小児科医のアプローチ
  •  その呼吸器診療 本当に必要ですか?
  •  正常ですで終わらせない!こどものヘルススーパービジョン

少しずつペースを上げていければと思います。

 

心にしみる皮膚の話

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ひとまずトップバッターは大塚先生(@ostukaman)の「心にしみる皮膚の話」

大塚先生といえば「B’zファン」、Dr. KIDといえば「ZARDファン」、B’zとZARDはビーイングという仲でして、勝手に親近感を感じています(実は、直接、お会いしたことが、まだないです…)

ちなみに、B’zの松本さんとZARDがコラボした「異邦人」、結構好きです。最初のパンチが効いたギターに痺れたのを覚えています。

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あ、横道にそれすぎました。。。

感想

全部読んだ最初の感想は、「エッセイでさらっとした文体に、絶妙に医学が織り交ぜられた本」という印象でした。

例えば、私が本を書こうとすると、データ重視、エビデンス重視、正確性重視のようなスタイルで、ゴツゴツとした文章になってしまいます。

大塚先生のように、自分のストーリーを織り交ぜながら書く医学のエッセイ+知識本のほうが、一般の方々は遥かに入っていきやすいのかもしれないと思いました。
これは、医学書にも通じるので、自分の文体を再考させられました。

大塚先生の本の中で、一番勉強になった箇所をあえて1つあげると、ニキビのところですね。

【小児の皮膚】こどものニキビの原因について【尋常性ざ瘡】 ニキビができてきて困ってます 対処法を教えてください と診察中に聞かれることがあります。小児科へはかぜやワクチン接種で受...

小児は思春期になると、ニキビをもつ方が沢山います。多くは皮膚科に受診されるかもしれませんが、小児科で別件で受診した際に、ついでに治療を希望されることもあります。

このため、私個人としては、小児科医もニキビの治療をある程度は知っておいたほうがよいと思っています。

文献付きで解説されており、食事のことも記載されており、とても参考になる内容でした。

 

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小児・思春期の頭痛の診かた

次はこちらの本↓

前から読もう読もうと思っていたのですが、ようやく読めました。

小児においても頭痛は奥深いです。確かにシンプルな片頭痛もありますが、それだけではありません。

多種多様な背景が隠れていることが多く、「頭痛!?痛み止め処方しておくね」といういい加減な診療から早く脱却するためには、この本を読んだ方がよいと思いました。

kamekura先生の言葉の通りと思います。

 感想

感想というか、この本のレビューはkamekura先生のものが素晴らしいので、購入を迷われた方は、kamekura先生のレビューを読むとよいでしょう。レビューの良し悪しに、キノコ派もタケノコ派も関係ありません↓↓

…小児の頭痛の本ですが、それとは異なりこちらはガチの医師向けです。
「国際頭痛分類第3版beta版」および「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」に準拠、とあるのですが、本書の内容は完全にガイドラインを越えています。子どもの頭痛のことしか考えていないくそまじめな医師たちが、自分たちの知識と経験をこれでもかとつぎ込んだ恐ろしい本です。診断から治療、片頭痛から不登校から耳鼻科領域の疾患まで子どもの頭痛で漏れている物はないと断言できます。「各トリプタン製剤の薬物動態」の一覧表とかマニアックすぎませんか、でも知ってると便利かもしれないのです。
そして「慢性連日制頭痛の治療」の項。藤田先生の講演会などで良く聞く話で、思春期の頭痛診療のうえでは本当に重要な部分です。よくぞ書籍にしてくれました。
ケースレポートも約30例。
間違いなく買いの一冊です。
(Amazonのレビューより)

豊富な症例とその治療経過、ガイドラインに沿った記載など、「これでもか!」と知識を整理して詰め込んだのがこの本と思います。
この本を読むと、執筆者の先生方は、長年、本気で頭痛診療と向き合っていたのが、痛いほど伝わってきます。

頭痛は小児においても良く診る症状ですし、こういった本で、普段から知識の幅を広げたいと思いました。

その呼吸器診療 本当に必要ですか?

最近の私の悩みというか、考え事です↓↓

「子供は大人のミニチュアではない」という言葉は、間違いではないのですが、小児科にいると、内科的な知識はどんどん減っていきます。気がつけば、内科的には常識的な内容も、小児科では知られず、小児医療が周回遅れになってしまう、これは由々しき問題ではないかと考えるようになってきました。

ひとまず、成人を診療するわけではないし、楽しみながら、有名な先生の本を読んで見る、そういうスタートも良いのではないかと思うようになりました。

そこで、倉原優先生の本を一通り読んでみようと思いました。

倉原先生は呼吸器内科医というブログを昔からしており、そこから本も出版しており、われわれブロガー医師の先駆者、パイオニア、フロンティア的な存在です。

感想

とても洗練された書籍だと思いました。どう洗練されているかですが、

  1.  文献が豊富でエビデンスに基づいている
  2.  臨床的な疑問に直結している
  3.  表や図などを多く利用して、データを綺麗に整理している

あたりが、率直な感想でした。

なかには医療コストのことまで考えてた執筆箇所もあり、患者さんの経済的な状況という細かいところまでしっかりと向き合って診療されている先生という印象でした。
(小児は多くの自治体は無料化で、ついついコストは度外視してしまうので、反省ですね…)

読み物としての完成度は高く、「同じ執筆者としては、私は倉原先生には遠く及ばない」と思いました。
いつか、こんな洗練された本が書けたらなー、という感想です。

正常ですで終わらせない!
子どものヘルス・スーパービジョン

最後はこちらです。

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小児科の後期研修医の時期は、よく「Bright Future」という小児の発達段階での小児科医としての指南書の冊子(アメリカ小児科学会)を読んでいました。

おそらく、この内容を日本版にアレンジしたのが本書だと思います。

感想

Bright Futureもそうですし、この本もそうですが、しっかりとエビデンスやガイドラインに基づいていることに好感を抱きました。

育児のアドバイスなどは、曖昧になってしまったり、経験則に従って偏ったコメントをしてしまうことがあります。「私はXXだったから、あなたも」という考えですが、それは正解であることも、そうでないこともあります。

もちろん、エビデンスやデータが全てとは思いませんし、そこから外れる方々も沢山いると思います。
ですが、「一般的にはこういうところでコンセンサスができている」、「こういったところに気をつけると良い」という指標を知るには、この本はとても良い内容と思いました。

この著者も、時間を豊富にとれるアメリカでの健診やそこで行われる保護者との対話が日本にそのまま応用できないのが承知です。
しかし、日本の小児医療は1患者あたり短時間という欠点はあるもののアクセスがよく繰り返し受診されることがままあるので「もう一言」「もう1アドバイス」を積み重ねることって大事なんだろうな、と思いました。

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おわりに

1年半ぶり!?くらいに、雑記風に読書感想文を書いてみました。

1〜2ヶ月に1回くらいの頻度で、読んだ本を紹介していければと思います。

ツイッターでも、読んだ本の紹介を、コツコツしていければと思います。

 

この本も6月に読みましたが、次回に紹介します↓

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これから読む本

今、読んでます〜↓

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近々読みます〜。ほむほむ先生、けいゆう先生、お待ちを〜。

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出版社の方々からいただきました。こちらも早めに読みます〜:

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。