今回は、船酔いに関して、遠くをみると予防できるかを検討した研究をご紹介します。
- 船酔いにおいて、外をみる、中をみる、目隠しの3つを調べた研究
- 水平線のような安定した視覚基準点があると酔いが軽減され、船旅中の視覚と前庭覚の衝突を最小限に抑えられる
- 何か課題をすることで症状が緩和された
2005年に公表されたようです。
遠くをみると船酔いの予防になる?[オランダ編]
研究の背景/目的
乗り物の運動の特性は、前庭的にも視覚的にも、空路、道路、海路で異なる。
乗り物酔いに対する視覚の影響は以前から研究されているが、海路の環境ではあまり体系的に研究されていない。
海路の環境では、
- 自己運動に関する適切な視覚情報が有益であり
- 乗り物酔いが増すとタスクパフォーマンスが低下する可能性が高い
という仮説が立てられている。
研究の方法
被験者内デザインを用いて、24名の被験者を船橋のモーション・シミュレータで30分間の運動にさらし、以下の3つの視覚条件を設定した:
- (地球に固定された)外側の景色(外観)
- 被験者と一緒に動く内側の景色(内観)
- 目隠しをする
主観的な酔いの症状と重症度は、運動の前、中、後に繰り返し評価された。
運動中には、被験者は精神的な課題を行った。
研究の結果
過度ではないが、乗り物酔いは「内観」で最も大きく、「外観」では中間程度、「目隠し」では最も小さかった。
「目隠し」をした状態では、最初の5~10分間は「内観」と同様に酔いがひどかった。
乗り物酔いの全体的な時間的増加は、回復時の減少とほぼ同じでした。
タスクパフォーマンスに対して乗り物酔いの影響は見られなかった。
結論
海路での酔いのほとんどは、自動車などの他の環境で報告されているように、視覚環境が被験者と一緒に動くときに観察される。
本研究では、中程度の乗り物の動きにより軽い乗り物酔いのみが誘発され、パフォーマンス課題によって緩和された。
視覚情報と前庭情報を統合する脳の非線形メカニズムが、目隠しをしたときに最も酔いが少なかった理由を説明できるかもしれない。
考察と感想
「乗り物の酔わないように、遠くをみましょう」は、とてもシンプルな行動対策で、さまざまな方からアドバイスがされていると思います。
このクロスオーバー比較試験では、水平線のような安定した視覚基準点があると酔いが軽減され、船旅中の視覚と前庭覚の衝突を最小限に抑えられることがわかりました。
また、何か課題をすることで症状が緩和されたのは、「(会話をするなど)気を紛らわす」ことで船酔いが軽減したのかもしれないですね。
「内観」が乗り物酔いを一番誘発していたのは十分参考になりそうな結果です。
まとめ
船酔いにおいて、外をみる、中をみる、目隠しの3つを調べた研究になります。
水平線のような安定した視覚基準点があると酔いが軽減され、船旅中の視覚と前庭覚の衝突を最小限に抑えられることがわかりました。
また、何か課題をすることで症状が緩和されたのは、「(会話をするなど)気を紛らわす」ことで船酔いが軽減したのかもしれないです。
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