- 便秘には野菜を
- 食生活を改善させましょう
と、便秘の治療の際に、医療者からアドバイスされることがあるかもしれません。あるいは、便秘に食物繊維が効く、というのは、すでにご存知の保護者の方々も多いかもしれません。
今回は、小児の便秘において、小麦ブランを摂取させることで食物繊維の摂取量を増加させ、便秘が改善するかを検討した研究をご紹介します。
- 小児の慢性便秘を対象に行われた研究
- 小麦ブランの摂取励行など食事指導
- 便秘は改善する傾向にあった
アメリカからの報告です。
小麦ブランの摂取は小児の慢性便秘症に有効か?
研究の背景/目的
慢性便秘は小児期によくみられる問題である。
研究の方法
2歳から12歳の慢性便秘のある小児60人を対象とし研究が行われた。
生の小麦ブランと高繊維食品を毎日摂取させ、牛乳やその他の便秘を起こしうる食品を除外する特別な食事が有効であるか検討した。
研究の結果
六週間以内に、便秘は60人の患者全員で軽快した。
牛乳やその他の制限食品は、便秘の原因とならないことがわかった場合には、ゆっくりと食事に戻した。
結論
著者らの臨床所見は,小児便秘に対する特別な食事の処方を支持すると考えられる。
特定の器質的原因が除外された慢性便秘の患者には,他のより複雑な治療介入を行う前に,この食事の試験的な導入を推奨する。
食事療法の実施には,小児および家族への慎重な説明と長期のフォローアップが必要である。
考察と感想
アメリカで行われた研究でした。60人の慢性便秘の小児(2〜12歳)に対して、食生活の指導をすることで、便秘が改善するかを検討しています。食生活の指導としては、
- 牛乳や乳製品を避ける(少なくとも6週間)
- 全粒穀物のパン・シリアルの摂取を推奨する(オートミールやグラノーラなど)
- リンゴ、リンゴジュース、ゼラチン、バナナ、ニンジン、米を避ける
- 精製されていないブランを食事に加える
(6歳未満はティースプーン3杯;6歳以上は4杯) - サラダや果物の摂取を励行する
- 6週間後に排便が改善すれば、徐々に食生活を元に戻す
が採用されていたようです。
小麦ブランに関しては、水やジュースに混ぜる、ピーナッツバターやスープに混ぜる、朝食のシリアルに混ぜるといった方法がとられていたようです。それでもダメなら、ハンバーガーやパンケーキに混ぜるという方法をとっていたようです(ハンバーガーに混ぜるとか、なんともアメリカっぽいですね)
60人いて全員が便秘が改善し、改善を実感するまでの平均の期間は4.3週だったようです。
「全員改善」というのは俄かに信じがたい結果ではありますが、便秘の治療の一環として食生活の改善を保護者と一緒に考えるというのは、賛同できる内容とも思います。
まとめ
今回は、アメリカから報告されたシングルアームの介入試験です。
慢性便秘症のある小児を対象に、小麦ブランを介した食物繊維の摂取を推奨し、一部の食品を制限したところ、便秘が改善する傾向にあったようです。
オールブランは私も好きです:
詳しいデータはnoteの方で執筆しています:
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし
知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。
感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/11/21 09:53:24時点 Amazon調べ-詳細)
絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし
こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/11/21 13:16:41時点 Amazon調べ-詳細)
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/11/21 01:00:58時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
noteもやっています