次サリチル酸ビスムスは小児の下痢に有効か、チリで検討された研究があったので、こちらで報告させていただきます。
次サリチル酸ビスムスの研究は1990年前後に行われていたようですが、こちらの論文もそのトレンドに乗った形です。
研究の方法
今回の研究は、二重盲検化ランダム化比較試験がチリで行われました。
- 生後4ヶ月〜36ヶ月
- 下痢の症状が72時間以内
- 入院が必要であった
などを対象にしています。
治療はランダムに、
- 次サリチル酸ビスムス
- プラセボ
のいずれかを投与しています。
アウトカムは、
- 下痢の回数
- 下痢の期間
- 体重の変化
などを計測しています。
研究結果と考察
最終的に次サリチル酸ビスムスが58人、プラセボは65人でした。
- 男児が6割
- 年齢 10ヶ月
- 体重は8kg
- 受診前の下痢の期間はおよそ40時間
- 下痢の回数は7回
でした。
アウトカムについて
主なアウトカムは以下の通りです。
ビスムス | プラセボ | |
水様便の期間 | 3.1日 | 4.5日 |
軟便の期間 | 6.0日 | 8.0日 |
入院期間 | 6.9日 | 8.5日 |
日別にみた排便の回数
ビスムス | プラセボ | |
1日目 | 6.3 | 7.5 |
2日目 | 6.1 | 7.2 |
3日目 | 5.3 | 7.1 |
4日目 | 5.0 | 7.6 |
5日目 | 4.3 | 6.1 |
6日目 | 3.0 | 4.3 |
7日目 | 3.3 | 3.7 |
8日目 | 2.7 | 3.0 |
排便回数は次サリチル酸ビスムスを使用していたグループのほうが、やや少ない印象でした。
考察と感想
次サリチル酸ビスムスを使用したグループのほうが、やや下痢の時間が短く、回数も少なく、入院期間も短い傾向にありました。
また、今回の研究では次サリチル酸ビスムスによる副作用は認めなかったようです。
こちらの論文のdiscussionにも少し書かれていましたが、次サリチル酸ビスムスの懸念事項として、サリチル酸を含むためライ症候群があります。
しかし、次サリチル酸ビスムスとライ症候群については関連性は認められなかったようですね。
また、次サリチル酸ビスムスの内服後に、血中で検出されたサリチル酸の濃度も低く、安全性も大丈夫そうということでした。
まとめ
今回の研究はチリで行われ、次サリチル酸ビスムスを使用したグループのほうが、やや下痢の時間が短く、回数も少なく、入院期間も短い傾向にありました。
先進国でも同様の結果がみられるか気になるところですね。