前回、成人のデータになりますが、マクロライド系の抗菌薬が喘息発作に有効と報告された研究を紹介しました。
マクロライド系の抗菌薬は殺菌作用と抗炎症作用があると考えられ、このメカニズムから喘息の標準治療に追加されることがあるようです。
小児では行われた研究が少なく、今回RCTがされたようです。
研究の方法
今回の研究はオープンラベルで40人の学童で間欠性または軽度持続性の喘息のある方を対象におこなわれています。
- 6〜14歳
- クラリスロマイシン
- プラセボ
のいずれかを3週間投与して、呼吸機能や喘息症状の消失期間を比較しています。
研究の結果
最終的に40人が研究に参加しており、平均年齢は9歳、男女比はほぼ同じでした。
気になった点は、クラリスロマイシンをうけたグループのほうが、ステロイドを使用される割合が高い(88.8% vs. 63.6%)ですね。
クラリスロマイシン |
あり N = 18 |
なし |
発作の期間 |
5 (1) |
7.5 (1) |
症状のない日 |
|
|
3週 |
16 (1) |
13 (2) |
6週 |
36 (2) |
29 (3) |
12州 |
78 (2) |
69 (6) |
コントロール不良の日 |
9 |
19 |
重症度のスコア |
|
|
1週 |
14 (3) |
18 (2) |
その後 |
18 (?) |
17 (3) |
再発までの時間, 日 |
67.5 (38) |
26.5 (33) |
クラリスロマイシンを使用したグループのほうが、初回発作の期間や、喘息症状のない日やコントロール不良の日は少なくなっています。また、再発するまでの期間は長くなっています。
病原体について
クラリスロマイシン |
あり |
なし |
ライノウイルス |
8/18 |
10/22 |
アデノウイルス |
3 |
|
マイコプラズマ |
2 |
|
パラインフルエンザ |
2 |
|
RSウイルス |
1 |
成人と異なり、ウイルス性がほとんどのようで、マイコプラズマはごく一部です。その反面、マイコプラズマが少ないわりにクラリスロマイシンの有効性をみとめており、成人とは解釈がやや変わってくるのかもしれません。
そのほか気になる点
気になる点としては、オープンラベルの試験である点ですね。どちらがどの治療をうけているのか知っているので、アウトカムに影響している可能性があります。
あとは、サンプル数も少なく、追加での検討も必須でしょう。
ギリシャは日本と同じく、マクロライドを多用してきた歴史があり、マクロライド耐性の細菌も多いです。本当に喘息で使用すべきかは、もう少し慎重に検討することが必要でしょう。
まとめ
今回のギリシャの研究では、マクロライドを使用すると喘息症状の期間や、再発までの日数が改善する可能性がありました。とはいえ、3週間の抗菌薬投与は、耐性菌を作るという観点では、安易に選択しづらい背景もあります。
小規模な研究 (N=40)ですので、別の大規模なものがないか探してみようと思います。
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