前回は世界における胃癌の疫学について簡単に説明してきました。
今回は、肝臓癌に注目して疫学の話をしていこうと思います。
Cancer Epidemiologyの教科書は以下↓
肝臓癌の発症と死亡
肝臓癌の発症と死亡数ですが、2018年に
- 84万人の新規発症
- 78万人の死亡
が生じたと推定されています。
世界的に、肝臓癌は新規発症癌6位で、死亡数では4位です。
特徴としては途上国に多いです。
男性の方が多く、男女比は2.84と推定されています。
国別にみた発症と死亡
国別にみた発症率と死亡率を見ていきましょう。
国別にみた年齢調整発症率
国別にみた肝臓癌の年齢調整発症率を見てみましょう。
こちらは男性です:
主に中国、東南アジアとアフリカの一部の発症率が高いです。
女性の肝臓癌発症率はどうでしょうか。
似たような分布ですが、日本やロシアも高いようですね。
地域で見た年齢調整発症率と死亡率
年齢調整発症率と死亡率は以下の通りになります。
一方で、発症率・死亡率ともに東アジアが頭一つ抜けている印象です。
発症率の経時トレンド
肝臓癌発症率の経時トレンドを見てみましょう。こちらは男性のトレンドです。
全体の傾向として、アジアは低下傾向にあります。
日本の変化が特徴的で、逆U字型ですね。
こちらは女性のトレンドです。
女性においても発症率は同じようなトレンドです。
肝臓癌の危険因子について
肝臓癌の危険因子としては、以下のものが挙げられます。
危険因子 | 解説 |
ウイルス感染 | B型肝炎 (Gp1) C型肝炎 (Gp2) |
食事 | アルコール (Gp1) アフラトキシン (Gp1) |
肥満 | 肥満 Non-alcoholic fatty liber disease |
B型肝炎ワクチンについて
こちらは2012年時点でのB型肝炎ワクチンの摂取率を示した図です。
1992年にWHOがB型肝炎ワクチンを乳児に接種させる等に水晶が出てから、ワクチンのカバー率は劇的に向上しています。
例えば、1990年には1%だった摂取率は、2012年には79%にまで上昇しています。
台湾では1984年からワクチン接種が開始されており、近年の小児での肝臓癌の発症率の低下は、ワクチンの恩恵と考えられているようです。
おわりに
今回は肝臓癌の国際的な疫学について簡単に解説してきました。
気になる方は、IARCはGLOBCANなどの資料を参照されると良いでしょう。
次回は子宮頸癌について解説していければと思います。
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