前回までは世界における個々の癌の疫学について簡単に説明してきました。
今回は、人口増加と高齢化ががんの疫学に与える影響に注目して疫学の話をしていこうと思います。
Cancer Epidemiologyの教科書は以下↓
人口増加と高齢化について
高齢化は先進国において世界的なトレンドですが、出産数の低下と平均寿命が延びたことが原因と考えられています。
一方で、アフリカなどの途上国では人口は増加し続けており、
- 60億 (2010)
- 89億 (2050)
になると予想されています。
この期間に、高齢者の割合と人数も増加傾向が予測されており、
- 7% (4億2000万)
- 16% (15億)
とも推定されています。
国と地域別にみたがんの発症と死亡の予測
国・地域別にみた発症率と死亡率の予測をみていきましょう。
国・地域別にみた発症率
国・地域別にみたがんの発症率の予測を見てみましょう。
世界的に増加傾向のトレンドにありますが、このトレンドは主に途上国からの影響が大きそうです。
特にアジアの増加が爆発的に増えるのが予測されています。2025〜35年に向けて、中国をはじめとしたアジアの国々は、増え続けるがん患者の受け皿となる医療のインフラを整える必要があります。
国・地域別にみた死亡率
死亡率についてもみていきましょう。
2012〜35年にかけて増加傾向にありますが、途上国はがんによる死亡率は倍近く増えることが予測されています。
発症率予測と同じような傾向で、アジアでの死亡率は急速に増えていくのが分かります
おわりに
今回はがんの国際的な未来予測・疫学について簡単に解説してきました。
気になる方は、IARCはGLOBCANなどの資料を参照されると良いでしょう。
次回はがんの未来予測について解説していければと思います。
Cancer Epidemiologyの教科書は以下↓
参考文献
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•Bray F, Ferlay J, Soerjomataram I, Siegel RL, Torre LA, Jemal A. Global cancer statistics 2018: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2018 Sep 12. doi: 10.3322/caac.21492.[Epub ahead of print] PubMed PMID: 30207593.