Cancer Epidemiology (がんの疫学)

Cancer Epidemiology (がんの疫学)(21)| B型肝炎・C型肝炎と発がんについて

ウイルスと発がんといえば、肝炎ウイルスを連想する方がいるかもしれません。
今回は、肝臓癌の発症に関与するB型肝炎とC型肝炎ウイルスについて解説していければと思います。

B型肝炎とC型肝炎ウイルスを合わせて、肝臓癌のおよそ73%ほどに寄与していると推定されています。

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肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルス

B型肝炎ウイルスは、enveloped DNA virusですが、世界的には2.57億人が慢性的に感染していると推定されています。

B型肝炎ウイルスは、全ての癌で換算すると3%ほど寄与している推定です。
特に慢性感染した場合、肝臓癌を発症する生涯リスクは40%とも割れています。

B型肝炎ウイルスが肝臓癌を引き起こす主な経路ですが:

  1.  慢性炎症
  2.  腫瘍タンパク
  3.  遺伝的な不安定性

などが挙げられています。

B型肝炎ウイルスについては、感染症疫学の回で詳しく説明してあります:

【予防接種】B型肝炎ウイルスとワクチンについて【臨床的な特徴、慢性化、抗体獲得率】前回はB型肝炎ウイルスの一般的な特徴や、診断について説明してきました。 基本的なことをおさえるために、あえて小児科に関連した内容はさけ...

C型肝炎ウイルス

C型肝炎ウイルスも、急性・慢性の肝炎を起こしえます。重症度については、非常に継承の場合もありますが、生涯にわたって感染し続けることもあります。

血液を介した感染が多く、違法薬物の使用者、スクリーニングされていない血液製剤、性行為などで感染します。

世界的には7000万人ほどがC型肝炎による慢性感染を有していると考えられ、毎年40万人ほどがC型肝炎に関連して死亡していると推定されています。

近年は、抗ウイルス薬によって95%ほどのウイルス感染を治療することが可能で、これによって肝硬変や肝臓癌を予防できると考えられています。

C型肝炎ウイルスに関しては、感染症疫学のまとめでも簡単に解説してあります:

小児のC型肝炎について解説します① 〜疫学と経過〜これまでに肝炎の総論、A型肝炎、B型肝炎について解説してきました。 www.dr-kid.net 今回は小児のC型肝炎について解...

おわりに

ちょっととりとめのない感じになってしまいましたが、肝炎ウイルスと肝臓癌の疫学について簡単に解説してきました。

次回はアルコールとがんについて簡単に解説できればと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。