Grosse SD, Leung J, Lanzieri TM. Identification of congenital CMV cases in administrative databases and implications for monitoring prevalence, healthcare utilization, and costs. Curr Med Res Opin. 2021 May;37(5):769-779. doi: 10.1080/03007995.2021.1890556. Epub 2021 Mar 4. PMID: 33591223; PMCID: PMC8314526.
行政データベースにおける先天性CMV症例の特定と有病率、医療利用、費用のモニタリングへの示唆
研究の背景/目的
医療行政データベースにおける先天性サイトメガロウイルス(cCMV)感染症または疾患を特定するための診断コードの使用を批判的にレビューすること。
これらのデータベースにおけるcCMVの確認の限界を理解することで、cCMVのサーベイランスおよび医療サービスの研究に役立てることができる。
研究の方法
乳児の有病率、サービスの利用、または医療費を評価するために、病院退院データや健康保険請求データ、遭遇記録でcCMVまたはCMVの診断コードを使用した既存の研究を特定した。
cCMV診断コードに関連する有病率および料金、費用、または支出の推定値をレビューした。
研究の結果
アメリカ(3件)、オーストラリア(1件)、イギリス(1件)の病院退院データベースに記録されたcCMV診断コードを使用して入院を評価した5つの研究を特定した。
他に、アメリカ(5件)または日本(1件)の請求データまたは遭遇データを分析してcCMVコードのある乳児を特定した6つの研究を特定した。
認識されたcCMVの有病率の推定値は、10,000人の乳児あたり0.6から3.8の範囲であった。経済分析では、入院1回あたりまたは乳児1人あたりの費用推定が広範囲にわたっており、標準化や比較可能性が欠如していた。
結論
北米、西ヨーロッパ、日本、オーストラリアからの行政データに基づく公開分析で報告されたcCMV症例の行政上の有病率(10,000人の乳児あたり0.6〜3.8)は、同じ地域で実施された新生児スクリーニングパイロット研究に基づく真の出生有病率(1,000人の新生児あたり3〜7)の推定値よりも桁違いに低い。
それにもかかわらず、cCMVの系統的なサーベイランスがない場合、行政データは検査および臨床診断の傾向を評価するのに有用である可能性がある。
行政データベースに記録されたcCMV症例がcCMV感染または疾患の全範囲を代表していない場合、それらのデータから生成された子供1人あたりの費用推定は一般化できない可能性がある。
一方、請求データは、cCMVおよび既知のcCMV合併症の診断の組み合わせに関連する医療利用および支出パターンを推定するのに役立つ可能性がある。
考察と感想
この研究は、医療行政データベースにおける先天性サイトメガロウイルス(cCMV)感染症の診断コード使用に関する既存研究の限界と有用性を検討しました。
主な発見として、行政データに基づくcCMVの有病率は実際の有病率よりも桁違いに低いことが挙げられます。診断コードによる確認が不完全であり、多くの症例が見逃されている可能性があります。このため、診断コードに基づく費用推定は、全体のcCMV感染や疾患を反映しておらず、一般化が困難です。
それにもかかわらず、系統的なサーベイランスがない現状では、行政データはcCMVの検査および診断の傾向を評価するのに有用です。さらに、請求データは、cCMVおよびその合併症に関連する医療利用や支出パターンを推定するのに役立つ可能性があります。
今後の研究では、診断コードの正確性を検証し、地域差や保険制度の影響を考慮した分析が必要です。これにより、cCMVの真の有病率や経済的負担をより正確に把握し、公衆衛生対策の改善に寄与できるでしょう。
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