便秘のお子さんは、そうでないお子さんと比較して、異なる点がいくつかあるのは昔から知られています。例えば、
- 野菜や果物の摂取量が少ない
- 水分の摂取量が少ない
などがあげられます。今回は、その研究をご紹介します。
- 小児の慢性便秘を対象に行われた研究
- 便秘のある小児の方が、野菜や果物の摂取量が少なく、さらに飲水量もやや少ない傾向
香港からの報告です。
便秘のある小児は、野菜、果物、水分摂取量は少ない傾向?
研究の背景/目的
食物繊維の豊富な食品の摂取と就学前児童における便秘の有病率との関係を評価する。
研究の方法
全部で368人の3~5歳の子供を,香港の幼稚園から無作為に選別した。
便秘はローマ基準で確認された。
正常な排便習慣の子供を、便秘のない対照とした。野菜,果物,全粒穀物および水分の摂取量は, 3日間の食事記録を用いて測定した。
研究の結果
合計28.8%の小児が便秘であると報告された。
便秘の子供の食物繊維摂取の中央値は,非便秘の子供より統計学的に有意に低く(3.4 g/日(四分位範囲 (IQR) :2.3~4.6 g/日)対3.8 g/日(IQR:2.7~4.9 g/日);P=0.044), 推奨量の40%の食物繊維摂取に相当した。
便秘の子供はビタミンC (P=0.041),葉酸(P=0.043)およびマグネシウム(P=0.002)の摂取も有意に低かった。
果物の摂取量および植物性食品の総摂取量は,便秘の小児では便秘のない小児よりも有意に低く,それぞれ(61 g/日(IQR:23.8-115 g/日)対78 g/日(IQR:41.7~144.6 g/日);P=0.047)および(142.5 g/日(IQR:73.7~214.7 g/日)対161.1 g/日(IQR:98.3-233.3 g/日);P=0.034)であった。
総水分摂取量は群間で差がなかったが ,便秘の子供のミルク摂取量は,便秘でない子供よりわずかに高かった(P=0.055)。
結論
不十分な食物繊維摂取は,香港の就学前児童において一般的である。
便秘の小児は,食物繊維およびビタミンC,葉酸およびマグネシウムなど微量栄養素の摂取量が低い傾向にあった。
しかし,便秘の小児では牛乳摂取量がわずかに高かった。
小児期の便秘を予防するためには,親が健康的な食習慣と排便習慣を早期に発達させることを助けるために,より多くの教育が必要である。
考察と感想
香港の就学前の幼児(3〜5歳)が対象だったようです。
沢山データがあったので、少し表にまとめてみました:
便秘 | あり | なし |
食物繊維 | 3.4 g/日 (2.3–4.6) |
3.8 g/日 (2.7–4.9) |
果物 | 61 g/日 (23.8–115 g) |
78 g/日 (41.7–144.6) |
植物性食品 | 142.5 g/日 (73.7–214.7) |
161.1g/日 (98.3–233.3) |
水分 | 624 ml | 685 ml |
まとめ
今回の研究は、香港において、便秘のある小児とない小児の特徴を比較した研究です。
便秘のある小児の方が、果物や植物性食品の摂取が少なく、飲水量がやや少ない傾向にあったようです。
これらの因果に関しては、別の研究が必要と思います。
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