- 熱中症ってなんでしょうか?
- どのような時に、こどもは熱中症になりやすいですか?
- 熱射病と熱中症って何が違いますか?
- 対処法や予防法を教えてください
など、様々な質問があります。
今回はごちゃごちゃになりがちな熱中症の知識を系統的にまとめてみようと思います。
熱中症って何ですか?
ちょっと堅苦しいですが、熱中症とは
『高温環境下における適応障害でおこる状態を総称したもの』
と医学用語で定義されています。
これでは分かりづらいので、もう少し噛み砕いて説明しましょう。
人間は気温の高い場所にいくと、汗をかいて、体にこもった熱を発散させます。
つまり、汗をかくことで、暑さに適応しようするのです。
熱中症とは、汗をかいて暑さに適応するのが上手くいかず、体温が上昇した状態をいいます。
熱中症にも種類があります
熱中症ですが、いくつかの分類があり:
- 熱失神(heat syncope)
- 日射病(sun stroke)
- 熱痙攣(heat cramps)
- 熱疲労(heat exhausion)
- 熱射病(heat stroke)
などと分類されていました。
ですが、これだけ様々な言葉があると、医療者でも混乱が生じるため、現在はよりシンプルに、重症度によって3段階に分かれています:
- 1度熱中症:熱痙攣・熱失神・日射病
- 2度熱中症:熱疲労
- 3度熱中症:熱射病
です。1度→3度へ数字があがると、熱中症の重症度が上がっていきます。
1度熱中症について
まずは一番軽症な1度熱中症について説明していきましょう。
1度熱中症は、体温はあがらず、意識ははっきりしており、熱失神や熱痙攣が代表的です。
熱失神
熱失神は、暑さのため急にふらついて、倒れてしまう状態をいいます。
起こりやすい状況は;
- 長時間にわたり、直射日光を浴びた
- 急に運動をやめた直後
- 炎天下で急に運動をはじめた時
が多いでしょう。
失神して倒れた後、脈が速くなったり、過呼吸になったり、気分不良、めまいの症状を伴うことが多いです。
熱痙攣
熱痙攣は、いわゆる『(足などが)攣った』状態です。
短時間の局所的な筋肉の痙攣で、ひどい痛みを伴います。
原因として、高温・多湿な環境で大量に汗をかくため、塩分など電解質が不足するために起こると考えられています。
2度熱中症について
2度熱中症のことを『熱疲労』ということもあります。
1度熱中症よりも重症で、体温が上昇し、大量に汗をかくため、脱水が高度となります。
2度熱中症になると、全身に様々な症状がでて:
- 発熱
- 脈が早い
- 顔面が真っ青
- めまい、疲労感、脱力、
- 頭痛
- 吐き気・嘔吐
が代表的な症状です。
40℃以下発熱で、意識はある程度はしっかりしていますが、受け答えに少し違和感がでます。
3度熱中症
3度熱中症は、最重症の熱中症で、『熱射病』といわれています。
体温は40℃を超えて、全身の臓器(脳・肝臓・血液など)に障害がでます。
3度熱中症は、古典的熱射病と労作性熱射病に分かれています:
古典的熱射病について
子供で古典的熱射病になりやすいのは、乳児や慢性疾患のある小児で、高温多湿な部屋に放置された場合に起こります。
暑い部屋に長時間いて、徐々に水分や電解質を喪失した場合におこるタイプの熱射病です。
労作性熱射病
労作性熱射病は、小・中学生に多いです。
特に、普段はクーラーの効いた涼しい部屋にしかいなかったのに、急に炎天下で激しく運動した場合などに起こりやすいです。
熱中症の注意点
こどもの熱中症は起こりやすいシナリオはある程度決まっています:
- スポーツなど炎天下での運動
- 高温多湿な体育館での運動
- 密閉した車の中
が多いです。
特に運動をしていなくても、高温多湿の環境にいるだけでも熱中症を起こすこともあります。
乳幼児の熱中症は要注意
特に注意したほうがよいのは、乳児など低年齢のお子さんです。
これは、乳幼児は体温の調節がまだ未熟で、大人と比べても高温多湿の環境に適応する能力が低いためです。
学童も、テレビゲーム・インターネットの普及によって、運動経験の少ない子どもが増加しています。
暑さに慣れていない子どもが、真夏の炎天下で急激に運動をすると、熱中症を発症しやすいです。
熱中症の予防法
熱中症予防のポイントは:
- 水分・糖分・塩分はこまめにとる
- 真夏の炎天下は外に出ない
- 熱を発散しやすい色の服を着る(白など)
- 冷水のスプレーを使って体を冷やす
- 保冷剤など首・脇の下・太ももの付け根に使用する
が対策になります。
水分摂取について
お茶や水だけですと水分しかとれないため、長時間のスポーツを行う場合は、
塩分・糖分もとれる飲料水のほうがよいです。
ポカリやアクエリアスでも構いませんが、糖分が多く、塩分が少ない組成になっているのが欠点です。
OS-1やアクアライトなどの経口補水液のほうが効率的に吸収できるため、オススメしています:
その他、便利グッズ
霧吹きや保冷剤などを上手く使うとよいでしょう。
最近は小児用の保冷剤も販売されています。
特に夏場に抱っこ紐の中にいたり、ずっとベビーカーにいても、熱中症になってしまうことはあります。
あらかじめ外出前に用意をして、適宜、体を冷やしてあげるとよいでしょう。
保冷ジェルとベビーカーシート
最近は、保冷剤と、保冷剤を収納できるベビーカーシートを組み合わせて使っている方も多いようです。
車や電車での移動時の便利グッズ
サンシェードと大きめのタオルを使って、チャイルドシートが暑くなるのを予防すると良いでしょう。