ピロリ菌について
『ピロリ菌』の正式名称は『ヘリコバクター・ピロリ』です。
ピロリ菌に感染すると、胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃癌の原因になることが、これまでの研究から分かっています。
ピロリ菌に感染の感染率について
過去の研究からですと、日本においては、
- 60代の50%
- 50代の40%
- 40代の25%
- 30代の20%
- 20代の10%
- 小児の5%
はピロリ菌に感染しているといわれています。
小児の感染割合は低いですが、感染者はゼロではありません。
こどもがピロリ菌にかかるとなりやすい疾患
ピロリ菌は胃の痛み(胃炎・胃潰瘍)を起こしやすい菌で有名ですが、これ以外にも貧血、血小板減少症を起こすことがあります。
ピロリ菌は鉄欠乏貧血を起こす
ピロリ菌が胃潰瘍や胃炎を起こすことは有名ですが、鉄欠乏性貧血も起こします。
これはピロリ菌が鉄分を消費してしまい、さらに消化管からの微量出血が続くためです。
また、ピロリ菌が「ペプシジン」という物質を放出し、鉄の取り込みを阻害するため、消化管で鉄が上手く吸収できなくたります。
最終的に、体の鉄分が不足して貧血になります。
ピロリ菌は頭痛も起こす
なぜ頭痛が起こるのか詳細な機序は分かっていませんが、『頭痛持ちの小児でピロリ菌感染を高率に認めた』という報告があります。
しかもピロリ菌を除菌したところ、頭痛の症状が消失したそうです。
ですので、小児で頭痛に悩んでいる場合は、ピロリ菌の感染を考慮してもよいかもしれませんね。
ピロリ菌感染の診断方法について
ピロリ菌の診断方法はいくつかあり:
- 血液検査
- 尿検査
- 便検査
- 内視鏡
が代表的です。
小児ですと気軽に内視鏡はできないため、血液・尿・便検査が現実的と思います。
ピロリ菌感染の治療法
小児でも多くの施設は抗性物質と制酸剤の組み合わせで除菌を行います。
色々な薬の組み合わせがありますが、代表的なのは
- 抗生物質2種類(アモキシシリン&クラリスロマイシン)
- 制酸剤(プロトンポンプ阻害薬)
の3剤併用が最も一般的でしょう。
薬剤への耐性化が進んでいます
近年は抗生物質への耐性化が進んでいます。
ピロリ菌が耐性菌であった場合に除菌できないこともあります。
除菌の成功率は 50〜70%程度です。