今回の研究は、アルコール手指消毒剤の頻回使用が、感染症による欠席リスクにどのくらい影響するかを検討した論文です。
先にこの研究の結論とポイントから述べましょう。
- アルコール手指消毒の頻回使用と教育が、病欠を減らすか検討
- 介入をしたグループは、欠席率が2割ほど低下
基本的に抗菌薬入りのハンドソープはあまりメリットがなく、現在は使用しない流れになっています。
研究の概要
目的:
家庭や幼稚園において、頻回の清潔や手指衛生の教育的な介入が、子供の胃腸及び呼吸器疾患の減少に有効であるかを評価した。
方法:
2010年10月から2011年9月まで、中国でクラスター・ランダム化比較試験を行った。
5歳以下の408人の子供を対象に、介入群と対照群に無作為化した。
介入群の家族と幼稚園は、1年間、手指衛生とテーブルなどの表面洗浄または消毒のための抗菌・アルコール製品を与えられた。
各々の子供の病気症状と病気休暇を毎日記録した。
結果:
合計393人の子供が研究を完了し、小児の背景は、2群で同様であった。
腹痛を除き、感染症の症状(発熱、咳、痰、鼻水、鼻づまり、下痢)、診断(急性呼吸器疾患および胃腸疾患)、および病欠のオッズは介入により低下した。
1人当たりにおいて、1年間の発熱、下痢、急性呼吸器疾患、胃腸疾患および病欠率も減少した。
結論:
急性呼吸器および胃腸疾患だけでなく、小児の病欠率も複数の介入により有意に減少した。
感想と考察
中国の5歳未満が対象のクラスター・ランダム化比較試験です。
アルコール手指消毒を含む教育的介入は、感染症やそれによる病欠を20%ほど減らす可能性がありそうです。
他にも類似のテーマを扱った論文はいくつかあり、多少なりとも効果はありそうですね。
まとめ
アルコール手指消毒を含む教育的介入は、感染症やそれによる病欠を20%ほど減らす可能性がありそうです。
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