今回は鼓膜切開チューブ留置後の合併症を伴わない耳漏に対する診療方針に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
主には耳鼻科の先生が診療してくださっている状態ですが、休日や夜間の外来で小児科に急に受診されるというケースもあるでしょう。このため、知っておいても損はない内容と思います。
- Choosing wisely:鼓膜切開チューブ留置後の合併症を伴わない耳漏
- 外用薬を使用が推奨されている
- しかし、後日、耳鼻科の先生への相談は必要と個人的には考えている
アメリカ耳鼻咽喉科学会からのChoosing Wisely
鼓膜切開チューブ後の合併症を伴わない耳漏には経口抗菌薬ではなく、点耳用を使用する[Choosing wisely]
Don’t prescribe oral antibiotics for uncomplicated acute tympanostomy tube otorrhea.
Oral antibiotics have significant adverse effects and do not provide adequate coverage of the bacteria that cause most episodes; in contrast, topically administered products do provide coverage for these organisms. Avoidance of oral antibiotics can reduce the spread of antibiotic resistance and the risk of opportunistic infections.
合併症を伴わない鼓膜切開管からの急性鼓膜の耳漏に対しては、経口抗生物質を処方しない。
経口抗生物質には重大な副作用があり、ほとんどのエピソードの原因となる細菌を十分にカバーすることができない。
対照的に、外用薬はこれらの細菌をカバーすることができる。経口抗生物質を避けることは、抗生物質耐性の蔓延および日和見感染症のリスクを減らすことができる。
考察と感想
既に鼓膜切開しチューブが挿入されている状態の小児を対象にした推奨のようです。
確かにチューブが既に入っている状態でしたら、内服より、外用液を使用した方が良さそうな印象もあります。
とはいえ、このような状況ですと、日本の場合は、チューブを挿入した耳鼻科の先生に直接ご相談して判断を仰ぐケースが多いのではないでしょうか。応急的な処置としては、覚えておいた方が良いかもしれないですね。
参考文献も提示されていたので、私も勉強し直してみようと思います。
- Goldblatt EL, Dohar J, Nozza RJ, Nielsen RW, Goldberg T, Sidman JD, Seidlin M. Topical ofloxacin versus systemic amoxicillin/clavulanate in purulent otorrhea in children with tympanostomy tubes. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 1998 Nov 15;46(1-2):91-101.
- Rosenfeld RM, Schwartz SR, Pynnonen MA, Tunkel DE, Hussey HM, Fichera JS, Grimes AM, Hackell JM, Harrison MF, Haskell H, Haynes DS, Kim TW, Lafreniere DC, LeBlanc K, Mackey WL, Netterville JL, Pipan ME, Raol NP, Schellhase KG. Clinical Practice Guideline: Tympanostomy tubes in children. Otolaryngol Head Neck Surg. 2013; Submitted for publication.
まとめ
今回は、choosing wiselyにおける、小児の鼓膜切開チューブ留置後の合併症を伴わない耳漏に関してご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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