今回は、停留精巣の男児に対する超音波検査の診療方針に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
健診などでも診療する機会があり、小児科が初診になることが多いでしょう。このため、知っておいても損はない内容と思います。
- Choosing wisely:停留精巣の診断に関して
- ルーチンで超音波検査を行わないように推奨されている
アメリカ泌尿器科学会からのChoosing Wisely
停留精巣の男児には、ルーチンで超音波検査を行わない[Choosing wisely]
Don’t routinely perform ultrasound on boys with cryptorchidism.
Ultrasound has been found to have poor diagnostic performance in the localization of testes that cannot be felt through physical examination. Studies have shown that the probability of locating testes was small when using ultrasound, and there was still a significant chance that testes were present even after a negative ultrasound result. Additionally, ultrasound results are complicated by the presence of surrounding tissue and bowel gas present in the abdomen.
停留精巣の男児には、ルーチンで超音波検査を行わない。
超音波検査は、身体検査では感じられない精巣の位置を特定するのに、診断能力が低いことがわかっています。
過去の研究によると、超音波検査で精巣が見つかる確率は低く、超音波検査の結果が陰性であっても精巣が存在する可能性が高いことが示されています。
さらに、超音波検査の結果は、腹部に周囲の組織や腸内ガスが存在することで複雑になります。
考察と感想
停留精巣の診断としての超音波に関してですね。
過去の論文を見てみましたが、超音波とMRIで比較した研究もいくつかあり、MRIの方が優れていたようですね。
ただ、小児科の場合、外来で診察して疑い症例は泌尿器科の先生へご紹介という流れが多いのではないでしょうか。
参考文献はガイドラインでしたが、そこをさらに辿るといくつかの文献を見つけることができました。
まとめ
今回は、choosing wiselyにおける、小児の停留精巣における超音波の有用性に関してご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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