今回は、小児の慢性ITPにおいて、アメリカで行われた研究を紹介します。
この研究では、リツキシマブを使用した症例の集積になります。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
長期間にわたる血小板減少症が続くと、生活の質に悪影響を与える可能性がある。
このようなタイプの慢性ITPの22人の小児において、抗血小板抗体を生産しているであろうB細胞を除去するため、リツキシマブで治療した。
方法
リツキシマブの投与量は以下の通りだったようです:
All patients received a single intravenous dose of rituximab (375 mg/m2)
寛解の定義は少し異なり、完全寛解は血小板数 > 10万/μL、部分寛解は血小板数 3〜10万/μL、反応なしは < 3万/μLだったようです。
結果
年齢の中央値は5.8歳、血小板低下の期間は44ヶ月、血小板数の中央値は5000/μLだったようです。
リツキシマブの単回投与は、リツキシマブの4回投与を用いた症例で報告されているものと同様の反応率をもたらした。
22人が治療されて、完全寛解は7名(32%)、部分寛解は6名(27%)、反応性なしは9名(41%)だったようですね。
考察と感想
こちらはドイツで行われた研究のようですね。
1回投与ですむなら、そのほうが良いのでしょうが、実際にこれは比較してみないとわからないですよね。
基本的にシングルアームの研究ばかりなので、研究間の単純な比較も難しいと思います。
これは副作用の頻度についてもそうだと思うのですが。
まとめ
今回は、小児の慢性ITPにおいて、リツキシマブを投与した場合の経過を追った研究です。
完全寛解に到達したのは30%、反応性がなかったのは40%でした。
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