今回は、小児の慢性ITPにおいて、アメリカで行われた研究を紹介します。
この研究では、リツキシマブを使用した前向きのコホート研究になります。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
この研究では、重度の慢性ITPの小児において、 リツキシマブの安全性と有効性を評価した。
の2.6歳から18.3歳の36名の患者の前向き研究においてリツキシマブの安全性と有効性を評価した。
方法
対象となった2.6歳から18.3歳の36名の患者において、リツキシマブ投与後の経過を前向きに追跡した。
主要アウトカムは、9週目から12週目まで4連続週間で血小板数が50×10^9/L (50 000/mm^3)以上の持続とした。
リツキシマブの投与量は以下の通りだったようです:
Rituximab (anti-CD20; Genentech, South San Francisco, CA; Biogen, Cambridge, MA; IDEC, San Diego, CA) was given as an intravenous infusion at a dose of 375 mg/m2 weekly for 4 doses (days 1, 8, 15, and 22).
結果
主要アウトカムは、患者36人中11人(31%; 95%信頼区間, 16%~48%)で達成された
反応するまでの時間の中央値は、1週間(範囲、1~7週間)であった。
主要アウトカムの達成と、以下の因子(年齢、以前の薬理学的反応、以前の脾臓摘出、 ITP期間、スクリーニング血小板数、不応性またはIgM減少)は関連性を認めなかった。
初回投与後の副作用は、前投薬にもかかわらず一般的に認められた (47%) 。
重篤なものとして性は、低血圧(n=1)および血清病(n=2)を認めた。
末梢B細胞数は全ての被験者で著しく低下した。
IgMは週当たり3.4%減少したが、 IgGはほとんど減少しなかった。
結論
リツキシマブは忍容性が良好で、投与に関連した副作用は管理可能であった。
しかし、被験者の6%が血清病を発症した。
リツキシマブは、重度の慢性ITPの一部の小児に有益であるかもしれない。
考察と感想
アメリカの10施設で行われた臨床研究のようですね。著者ら曰く、Phase I/II相とのこと。
“Efficacy”といっていますが、single arm (コントロールなし)の研究ですから、ちょっと品のない書き方と思いました。
(*注:疫学では、Efficacyとは、理想的なRCTなどで計測される治療効果のことを一般的には指します)
また、効果のあった人、なかった人で患者背景の比較をしていますが、これも多変量回帰分析をしかっておらず、信用できない結果のような気がします。
この研究の焦点は、慢性ITP患者においてリツキシマブを投与したところ「患者36人中11人(31%; 95%信頼区間, 16%~48%)」が改善した、というところでしょう。
一方で、発熱・悪寒・呼吸器症状など比較的軽微な副作用は多く(47%)、血清病や低血圧といった重篤な副作用も3例(8%)で認めていたようですね。
まとめ
今回は、小児の慢性ITPにおいて、リツキシマブを投与した場合の経過をおった研究です。
治療反応性を認めたのは31%でした。一方で、発熱・悪寒といった軽症の副作用は47%で、血清病や低血圧といった重度なものは8%ほどで認めていたようですね。
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