成人においては、慢性ITPにおけるピロリ菌の除菌効果は広く知られているかもしれません。
一方で、小児の報告は少なく、今回は日本で行われた研究を見つけたため、紹介させていただこうと思います。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
最近、 成人の慢性ITP(cITP)において、Helicobacter pylori感染の高い罹患率が報告されている。
さらに、このような患者におけるH.pylori除菌療法後、血小板数が増加することが観察されており、 H.pyloriが成人cITPの一因である可能性が示唆されている。
しかし、 cITPの小児の報告は少ない。
本研究では、日本人小児におけるH.pylori感染とcITPとの関連を検討した。
方法
H.ピロリ感染は、Helicobacter pylori糞便抗原 (HpSA) を用いて cITPの10人の子供で測定した。
結果
Helicobacter pylori感染は被験者のうち2例のみに認められた。
男児の例では、尿素呼気試験 (UBT) も陽性であり、アモキシシリン、クラリスロマイシンおよびランソプラゾールを用いた1週間の除菌療法を受けた。
治療は成功し、患者の血小板数は増加した。反応は1年以上の追跡期間中維持された。
結論
cITP小児におけるH.pylori感染率は高くない。
しかし、 cITPの男児では除菌治療後に血小板数が増加し、成人と同様に小児においてもH.pylori感染の除菌が有用であることが示唆された。
考察と感想
今回の研究では、20%(2/10)でピロリ菌の感染率でした。日本の小児において、ピロリ菌の感染率は12歳時点で6%という報告もあるようですね。
慢性ITP患者で治療の記録があったのは9歳男児ですが、治療レジメンは以下の通りでした。
eradication therapy was attempted using amoxicillin (1.5 g/day three times daily), clarithromycin (400 mg/day twice daily), and lansoprazole (45 mg/day three times daily) for 7 days.
まとめ
今回は、慢性ITPでピロリ菌を感染していた小児に治療した報告です。
慢性ITPのうちピロリ菌感染者の割合は20%でした。
治療した1例では、直後から血小板数の上昇を認めたようです。
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