ITPの診断は基本は臨床診断ですが、抗血小板関連抗体の存在は、以前から言われています。
今回は、慢性ITPにおいて、この検査が診断の一助になるか、感度・特異度の観点から見ています。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
慢性ITPは血中に循環する抗血小板抗体によって引き起こされる急速な血小板破壊の結果生じる。
本研究では、慢性ITP患者65人の血小板抗体を検出する3つの方法を比較した。
方法
血小板抗体の検出ですが、
- 全血小板ELISA
- フローサイトメトリー
- MACE (antigen-specific modified antigen capture ELISA)
の3つが使用されています。
結果
全血小板ELISAとフローサイトメトリー分析を用いて、患者のそれぞれ35%と45%が抗血小板抗体を示した。ほとんどの症例(26人または29人の患者)でIgGが優勢な抗血小板免疫グロブリンであった。
MACEを使用して蛋白質 (GP) Ib/IX特異的抗体を用いて分析したところ、 GPIIb/IIIaに特異的な抗体と同じ頻度で生じた。
さらに、MACEの結果と他の分析結果の間には低い相関があった。つまり、いくつかの患者は一方のアッセイで陽性であったが、他方では陰性であった。
結論
これら3つの技術にはそれぞれ長所と短所があると結論する。
慢性ITPの自己免疫過程の評価に併用することは理にかなっていると思われる。
考察と感想
これまでの論文は急性ITPを対象にしていましたが、今回のものは慢性ITPが対象でしたね。
ELISA vs. MACEの結果は以下の通りでした:
ELISA | (+) | (-) |
MACE | ||
(+) | 14 | 9 |
(-) | 9 | 33 |
一致率は、72%ですね。
FACSとMACEの結果は以下の通りです:
FACS | (+) | (-) |
MACE | ||
(+) | 18 | 5 |
(-) | 11 | 31 |
一致率は75%ですね。
まとめ
今回は、慢性ITPにおいて、血小板関連抗体を異なる検査で比較してます。
ELISA、フローサイトメトリー、MACEでは検出される割合と患者グループが異なったようです。
慢性ITPの自己免疫過程の評価に併用すると感度は上がるのでしょう。
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