小児科

小児の慢性ITPとピロリ菌の除菌について[イラン編]

成人においては、慢性ITPにおけるピロリ菌の除菌効果は広く知られているかもしれません。

一方で、小児の報告は少なく、今回はイランで行われた小規模なRCTを見つけたため、紹介させていただこうと思います。

マミー
マミー
小児のITPの治療って何がありますか?

Dr.KID
Dr.KID
過去のエビデンスをみてみましょう。

   ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。

 研究の概要

 背景・目的

小児慢性ITPにおいて、Helicobacter pyloriの除菌したのちに、血小板数が回復した報告例は複数ある。

方法

慢性ITPの小児を対象に、尿素呼気試験を行い、ピロリ菌感染を同定した。

対象となった患者のピロリ菌を除菌し、その後の血小板数の推移を確認した。

治療レジメンは以下の通りのようです:

Eradication therapy was started in H. pylori-positive patients using omeprazole (0.6 mg/kg/d), amoxicillin (50 mg/kg/d), and clarithromycin (15 mg/kg/d) for 2 weeks, at least 1 month after the withdrawal of immunosuppressive drugs.

 

結果

慢性ITPと診断された小児39名のうち、 4名 (12.9%) がH.pylori感染を有していた

4人のピロリ菌を除菌し、1ヶ月後の尿素呼気試験で陰性を確認しています。

結論

小児慢性ITPにH.pylori除菌の有効性のエビデンスは不十分である。

考察と感想

血小板数が回復した論文が多かったですが、それに異を唱えた論文ですね。

Dr.KID
Dr.KID
反対意見も重要ですね。

まとめ

今回は、慢性ITPにおけるピロリ菌の感染率と、除菌の効果を検討した研究です。

慢性ITPの小児において、ピロリ菌は12%ほどで感染していました。

ピロリ菌の除菌した4例では、血小板数の回復は認めなかったです。

 

 

created by Rinker
¥4,950
(2024/11/21 18:29:51時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの執筆した書籍・Note

医学書:小児のかぜ薬のエビデンス

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

医学書:小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/21 01:10:36時点 Amazon調べ-詳細)

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。