成人においては、慢性ITPにおけるピロリ菌の除菌効果は広く知られているかもしれません。
一方で、小児の報告は少なく、今回はイタリアで行われた研究を見つけたため、紹介させていただこうと思います。
ITPはかつて特発性血小板減少性紫斑病 or 免疫性血小板減少性紫斑病、その後、免疫性血小板減少症と呼び名が変わっています。
研究の概要
背景・目的
最近の報告は、 Helicobacter pylori(ピロリ菌)への感染は、成人において慢性ITP (cITP) の原因の1つと考えられ、抗菌薬治療が血小板数を増加させるかもしれないことを示唆している。
小児での治療経験は限られているため、著者らは一連のcITP小児におけるH.pylori感染の罹患率とH.pylori除菌療法の効果を調べた。
方法
イタリアの25施設で行われた研究です。
慢性ITPは、原因不明の血小板数 < 10万 /μLが6ヶ月以上続いた状態と定義されています。
cITP小児24人について、 C‐尿素呼気試験またはH.pylori糞便抗原を用いてH.pylori感染について調べた。
H.pylori感染症例では、抗菌薬による治療はアモキシシリン、クラリスロマイシンおよびプロトンポンプ阻害剤で行った。
治療への反応性は6か月で評価し、完全(血小板数>150×10^9/L)または部分(血小板数50~150×10^9/L)と定義した。
結果
24人のcITPの小児のうち、ピロリ菌感染は8人の患者 (33%) で見出され、それらの3人は治療後に反応を示したが、このうち2人は後に再発した。
2人の患者は、 H.pylori陰性患者群で血小板数の自然増加を示した。
結論
血小板数の自然な改善がcITPの子供で生じることを考慮すると、 H.pyloriが子供の年齢で生じるcITPで主要な役割をすることを示すことはできなかった。
考察と感想
慢性ITP患者で治療の記録があったのは9歳男児ですが、治療レジメンは以下の通りでした。
Eradication treatment consisted of amoxicillin (50 mg/kg a day divided b.i.d. for 14 d), clarithromycin (15 mg/kg a day divided b.i.d. for 14 d) and proton pump inhibitors (1 mg/kg a day divided b.i.d. for 1 mo)
黒色はピロリ菌に感染して除菌した例、灰色はコントロールです。
ピロリ菌除菌後に増加してる症例もあれば、そうでないものもありますね。
まとめ
今回は、慢性ITPでピロリ菌を感染していた小児を治療した報告です。
慢性ITPのうちピロリ菌感染者の割合は33%でした。
一部では、治療後後から血小板数の上昇を認めたようですが、半分以下に止まっています。
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