Numazaki, K., Fujikawa, T. Chronological changes of incidence and prognosis of children with asymptomatic congenital cytomegalovirus infection in Sapporo, Japan. BMC Infect Dis 4, 22 (2004). https://doi.org/10.1186/1471-2334-4-22
新生児における先天性サイトメガロウイルス感染症のスクリーニング:新生児の尿を用いた定量リアルタイムPCRによる観察研究
研究の背景/目的
札幌市における先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の発生率の年代別変化と無症候性先天性CMV感染症の子供たちの経過観察に関する研究を行いました。
研究の方法
1977年から2002年の26年間に札幌市で出生した乳児を対象に、出生後1週間以内にウイルスを分離することで先天性CMV感染症を診断しました。
研究の結果
先天性CMV感染症は11,938人の乳児のうち37人(0.31%)に診断されました。このうち32人(86.5%)が無症候性、5人(13.5%)が出生時に症候性でした。
結論
近年、先天性CMV感染症の総発生率は減少していますが、出生時の先天性感染症のスクリーニングは、遅発性の神経発達障害を検出するために必要であると考えられます。
考察と感想
この論文は、先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の長期的な影響を明らかにする重要な研究です。
無症候性の新生児でも、後に感音難聴や神経発達障害が発生する可能性があることを示しており、出生時のスクリーニングの必要性を強調しています。
また、最近の発生率の減少傾向と、依然として存在する症候性感染症のリスクを考慮すると、新たな予防法や治療法の開発が急務であることが分かりました。
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