- 便秘には野菜を
- 食生活を改善させましょう
と、便秘の治療の際に、医療者からアドバイスされることがあるかもしれません。あるいは、便秘に食物繊維が効く、というのは、すでにご存知の保護者の方々も多いかもしれません。
今回は、小児の便秘において食物繊維が原因か、またはその逆かを検討した研究をご紹介します。
- 小児の慢性便秘を対象に行われた研究
- 食物繊維の摂取とその後の便秘症の関連性の調査
Tappin D, Grzeda M, Joinson C, Heron J. Challenging the view that lack of fibre causes childhood constipation. Arch Dis Child. 2020 Sep;105(9):864-868.
イギリスからの報告です。
食物繊維が便秘症の原因か?逆に便秘症の結果、食物繊維摂取が低下しているのか?
研究の背景/目的
「低食物繊維食は小児期便秘を引き起こす」 という見解を支持する証拠を評価するため、今回の研究が行われた。
研究の方法
3つのアプローチを統合した:
- 繊維食の有効性を検討する系統的レビュー
- Avon Longitudinal Study of Parents and Children (ALSPAC)のコホート研究で、便秘(または硬い便)が離乳食を進める上で、食物繊維の摂取に先行するか
- 遺伝性を計算するために、双子研究の文献を調査する
が行われた。
系統的レビュー(CG99)は繊維増加の有効性に関する文献(RCT6つ)を検討した。
6796名の小児の4週時, 9828名の6か月時, 9452名の2.5歳時のALSPAC硬便データと8401名の4~10歳時の便秘データを2年時の繊維摂取量と比較した。
双生児研究では双生児が338組と93組あり、ALSPACではさらに45組が追加された。
研究の結果
繊維の増加は便秘を効果的に治療しなかった。
繊維摂取の4週間前と6か月後の硬い便は, 2年後の繊維摂取の低下を予測した (p=0.003) 。遺伝が便秘の59%を説明した。
結論
RCTは,繊維の増加が子供の便秘に対する効果的な治療ではないことが示された。
硬い便が食物繊維の摂取に先行し,その後の摂取を予測することがある。
ほとんどの小児の便秘は遺伝的に説明可能であった。便軟化剤による長期治療は,繊維摂取を改善し,便秘の長期的な後遺症を緩和する可能性がある。
考察と感想
ちょっともやっとする内容の論文でした。
例えば、小麦ブランやグルコマンナンを使用して排便習慣が改善した研究は複数ありますが、全く触れられていなかったです
また、著者らは「もともと便秘になりやすい遺伝的な傾向のある小児が、食物繊維の少ない食事摂取をする傾向にあって、食物繊維の摂取量が将来の便秘に与える影響はない」というニュアンスも述べられています。
しかし、この仮説はこの論文での検定は不十分な気がしました。
まとめ
食物繊維の摂取量と便秘症の発症の関連性を検討した研究になります。
関連性については否定された論調で記載されていましたが、データは不十分で結論づけるのは難しいと思いました。
詳しいデータはnoteの方で執筆しています:
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noteもやっています