スクリーンタイム(テレビなどの画面の視聴時間)について、18〜24ヶ月未満の乳幼児は、基本的に設けないことが推奨されています。
一方で、2〜3歳以降は、コンテンツを選びながら、動画を見せることで、ひょっとしたら学習効果があるかもしれないと考えられています。代表例としては、セサミストリートはいくつかの研究が過去に行われていました。
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一般に「どのようなプログラムをみるかが重要」と言われていますが、どのようなエビデンスがあるのでしょうか。
今回の研究では、3〜5歳において、暴力的・攻撃的なプログラムを避け、教育的・向社会的なプログラムを推奨することで、この年齢の幼児の行動にどのような影響があるかを検討しています。
- スクリーンタイムにおいて、暴力的な内容を避け、教育的な内容を推奨する介入効果をみたランダム化比較試験
- 3〜5歳の幼児が対象
- 介入をすることで、幼児の行動によい影響があった。特に低所得世帯でその効果がおおきかった。
スクリーンタイムは、米国小児科学会は2016年の改訂で、2歳未満は0時間(みせないこと)、2〜5歳は1時間までを推奨しています。テレビなどを観る際も、保護者と一緒にみることを推奨しています。
研究の概要
背景:
これまでの研究では、就学前の子供がスクリーン上で攻撃性や向社会的な行動の両方を模倣することが明らかになっている。
しかし、就学前の子供が「何を見るか」を変更することで、攻撃性を低下させるようにデザインされた研究はほとんどない。
方法:
著者らは、親が総スクリーンタイムを減らすことなく、攻撃的なプログラムを高品質な向社会的および教育的なプログラムに置換できるよう介入した。
地域の小児科診療所から集めた3〜5歳の就学前児童の565人とその親を対象に、ランダム化比較試験を行った。
アウトカムは6か月後と12か月後の社会的能力と行動評価であった。
結果:
介入開始6か月では、全体の平均社会的能力と行動評価スコアは、コントロール群と比較して、介入群で2.11ポイント良好であった(95%信頼区間[CI]: 0.78~3.44)。
同様の効果が
- 外在化サブスケール(0.68 [95% CI:0.06~1.30])
- 社会的能力サブスケール(1.04 [95% CI:0.34~1.74])
で観察された。
内在化サブスケールに対する効果は正の方向であったが、統計学的に有意ではなかった(0.42 [95% CI:−0.14~0.99])。
影響の大きさは12ヵ月時点で顕著には減少しなかったが、外在化サブスケールに対する影響はもはや統計的に有意ではなくなった(P=。05)。
層別化分析では、低収入少年が最大の利益を得ているようであった(全効果の差, 6.48 [95% CI:1.60~11.37])。
結論:
就学前の幼児のスクリーンタイムにおいて、暴力的なコンテンツへの曝露を減らし、向社会的・教育的なプログラムへの曝露を増加させる介入は、子供の行動に正の影響を与えるかもしれない。
考察と感想
SCBEは「the Social Competence and Behavior Evaluation」の略のようで、こちらを指標に全体的な社会的能力とそのサブスケールを計測したようです。
サブスケールもinternalizing, externalizingと分類されていますが、これは
- 内在化:不安で、憂鬱、内向的
- 外在化:怒り、攻撃的、反抗的
といった意味があるようで、その尺度のようです。スコアが高ければ、よりポジティブな行動を示すようです。
攻撃的で年齢不相応のコンテンツを避け、教育的で向社会的なコンテンツに置き換えることで、この尺度が改善したようです。
(原著より拝借)
特にメリットが大きかった集団は、低所得世帯に住む男児のようです:
(原著より拝借)
まとめ
今回の研究では、3〜5歳の幼児において、攻撃的で年齢不相当なプログラムを避け、教育的あるいは向社会的なプログラムを見せるよう奨励する介入効果を検証しています。
視聴する内容を置き換えることで、こどもの行動によい影響があったようで、この効果は特に低所得世帯において大きかったようです。
乳幼児のスクリーンタイムの考え方をまとめたnoteはこちらになります↓↓
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