新型コロナウイルス

消毒剤の種類や濃度が異なると、コロナウイルスの不活化効果は変わるか?

今回の研究は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)以外のコロナウイルスが、異なる消毒剤とその濃度で、望んだレベルのウイルスの不活化が生じるか検討した研究です。

今回は、システマティックレビューを見つけたので、そちらを参照してみましょう。

ポイント

  •  新型コロナウイルス以外のコロナウイルスが、異なる消毒剤で不活化するか検証
  •  ウイルスを不活化するには、適切な濃度 x 時間の考慮が必要
マミー
マミー
コロナウイルスって、消毒剤で不活化します?

Dr.KID
Dr.KID
過去の文献をみてみましょう。

  新型コロナウイルス「以外」という点は要注意ですよ!

 研究の概要

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)以外のコロナウイルスにおいて、消毒剤とその濃度によって、ウイルスの感染性がなくなるまでの時間を検証したシステマティック・レビューがあります。(16)

ヒトコロナウイルス(HcoV)、重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、伝染性胃腸炎コロナウイルス (TGEV)、マウス肝炎コロナウイルス(MCV)を使用して、異なる種類・濃度の消毒剤の有効性を検討しています。

研究結果は以下の通りでした

主要な消毒剤、例えばアルコール(エタノール)、次亜塩素酸ナトリウム、ポピヨン・ヨード、クロルヘキシジン、過酸化水素をピックアップした表は上の通りです。

アルコールは80%以上あると、30秒くらいで十分に不活化できるようです。一方、70%付近から、徐々に結果が怪しくなっていきます。次亜塩素酸ナトリウムも濃度が重要で、0.05〜0.1%以上が望ましいようです。ポピヨンヨードに関しては1%、クロルヘキシジンや過酸化水素はデータは不十分な印象です。

感想と考察

保守的に考えると、アルコール80%以上で30秒くらいが良いでしょうか。

次亜塩素酸ナトリウムは高濃度が必要ですね。0.1%というと、吐物や排泄物を処理する際に必要な濃度です。一方で、0.02%はドアノブなどの消毒で使用される一般的な濃度です。

Dr.KID
Dr.KID
濃度 x 時間が重要ですね。

まとめ

今回は、新型コロナウイルス「以外」のコロナウイルスが、異なる種類・濃度の消毒剤によって、どれくらいウイルスの不活化効果が異なるか検証したシステマティックレビューを説明しました。

アルコールや次亜塩素酸ナトリウムは有効でしょうが、濃度が高い方が効果は確実と思われます。

 

こちらの話題の本、読んでみたいですね〜↓↓

created by Rinker
医学書院
¥3,300
(2024/10/30 14:29:43時点 Amazon調べ-詳細)

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/10/31 00:12:21時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。