今回の研究は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した無症状患者を追跡した研究を紹介します。
ダイアモンドプリンセス号に乗っていた方々のデータのようです。
- 新型コロナウイルスの検査陽性も、症状がないケースを追跡
- 15%ほどで、3−5日以内で、後から症状が出ることも
無症状の新型コロナウイルスの経過をみた論文は珍しいですね。ダイアモンドプリンセス号のデータを使用しているようです。
研究の概要
検査時に無症状であった合計96人のSARS-CoV-2感染者と船上で検査で陰性であった32人の船員が、継続観察のため、 2月19日〜26日の間にDiamond Princess号から、国内の病院に搬送された。
この無症状であった96人のうち11人は、最初にPCR陽性となってから、中央値で4日後(四分位3~5)に、新型コロナウイルス感染の臨床的な徴候/症状が生じていた。
つまり、これは、無症候性感染ではなく、症状発現前に検査陽性となったことを意味する。
最初はPCR検査陰性であった船員32人のうち8人は、病院到着後72時間以内にPCR検査が陽性となったが、無症状のままであった。
感染が消失した人(2回連続でPCR陰性)の割合は、最初のPCR検査陽性から、8日後で48%、15日後に90%であった。
(原著より拝借)
若い人のほうが、PCR陰性となるタイミングは早い傾向のようですね。
感想と考察
この論文からは2つのことを学んだ気がします。
1つは、検査陽性が判明してから症状が出る方が一部でいることで、およそ4日前後のタイミングということです。
また、これは症状が発現する前に、すでに鼻腔内にはウイルスが増殖していることを意味します。感染性(他人に感染させるのか)に関しては、この報告だけでの判断は難しい印象です。
2つ目は、無症状であっても、検査陰性になるまでは(2回以上連続でPCRマイナス)、それなりに時間がかかるようですね。10日前後が妥当なラインのようです。
まとめ
今回の研究では、ダイアモンドプリンセス号において、無症状であったものの、検査陽性となった患者を追跡した報告です。
検査時に無症状であったも、約15%ほどで後に症状が出現することがあるようです。
無症状→有症状となるタイミングは、3−5日くらいが多かったようです。
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