新型コロナウイルス

抗がん剤治療を受けている小児における新型コロナウイルス感染者数は?[世界]

小児のがん患者で、新型コロナウイルスに感染した症例がどのくらいいるか、重症化が生じているかを、世界的に行ったサーベーランスになります。

ポイント

  •  世界で行われた新型コロナウイルスの小児がん患者のサーベイランス
  •  200名が検査を受けて、陽性者は8名
  •  無症状〜軽症であったよう
マミー
マミー
小児の新型コロナウイルスのまとまった報告はありますか?

Dr.KID
Dr.KID
色々と報告はあるようです。過去の文献をみてみましょう。

  新型コロナウイルスに感染した小児がん患者の調査。

 研究の概要

はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の大流行が始まって以来、本疾患の重篤な経過は主に高齢者に起こっており、小児および若年成人では稀である。

共存症、特に糖尿病と高血圧は、明らかに年齢と関係し、肥満と喫煙は、集中治療の必要性と強く関係する。

この不均一な年齢分布の可能な説明として、高齢者の弱い免疫が示唆されている。

がんの治療を受けている小児は、あらゆる感染症に気をつけるべきであるし、一般的には重症化のリスクとなる懸念がある。
例えば、中国(武漢)からの症例報告によると、白血病の治療を受けている小児は重症化したことが既に報告されている。

目的と方法

著者らは、抗癌治療を受けている小児における新型コロナウイルス感染症の発生率と重症度に関するサーベイを行った。回答者は、短いウェブベースのアンケートに記入するよう、電子メールで求められました。

結果

著者らは25カ国から報告を受け、そこでは約1万人が調査されている。

調査時点で200人以上の子供が検査を受け、そのうち9人が新型コロナウイルス陽性であった。
9人のうち8人は無症候性から軽度の疾患であり、 1人は診断されたばかりであった。

結論

このように、抗がん化学療法を受けている小児であっても、COVID-19が軽度または無症候性の経過をたどることはありえる。

この研究で観察されたよりも重度の経過をたどるリスクを過小評価すべきではないが、その一方で、原疾患の治療に遅れが生じるのは望ましくない。

感想と考察

世界で1万人の小児のがん患者を調査したところ、新型コロナウイルスの検査を受けたのが200人、そのうち9名が陽性と確定しているようです。今の所、重症化の報告はこの調査ではなかったようで、軽度の症状で済んでいるようです。

一方で、限られた患者数ですので、これで重症化のリスクがどうかということは語るのは難しいかと思いました。

Dr.KID
Dr.KID
中国で白血病の小児が重症化した例は以前、論文で読みました。

まとめ

今回は、3/16に32カ国の医療施設で一斉に行われたサーベーで、小児のがん患者がどのくらい新型コロナウイルスに感染しているか、重症化はどうかを見ています。

200人が新型コロナウイルスの検査を受け、8名が陽性で、ほとんどが無症状〜軽傷だったようです。

Dr. KIDの書籍(医学書)

小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:

小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。

 

新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス

こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。

日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。

created by Rinker
¥3,850
(2024/11/20 01:07:57時点 Amazon調べ-詳細)

 

Noteもやっています

かぜ薬とホームケアのまとめnote

小児のかぜ薬とホームケアの科学的根拠

 

小児科外来でよくある質問に、科学的根拠を持って答えるnote

保護者からのよくある質問に科学的根拠で答える

 

 

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。