World Journal of Pediatricsから2/5に発表された、診断と治療の総説的な論文をご紹介します。
- 中国と日本の感染者数の推移
- 小児の診断と治療の総説的な論文の紹介
中国と日本の感染者数の推移
中国と日本の感染者数の推移は以下の通りです (2/27時点)
- 世界:81,993人
- 中国:78,497人
- 日本:190人
大半が中国で占められていますが、世界全体では8万人が報告されていますね。
中国の累積感染者数の推移
中国では、もうすぐ8万人に差しかかろうとしていますが、徐々に新規感染者は鈍化してきて、頭打ちになってきている印象です。ここのところは、8万弱がずっと推移していますね。
図のY軸のスケールを対数化させたグラフが右側です。感染者数の増加速度は、徐々に鈍化してきている印象です。
日本の累積感染者の推移
日本の患者数の推移は以下の通りです:
この図を見てしまうと、まだまだ上昇トレンドにありそうで、勢いは増してきている印象で、これから急速に増えてくるかもしれません。
右の図は、Y軸を対数化しています。
累積数はもうすぐ200人で、まだ上昇トレンドにあるのが分かります。
韓国で感染者数が1,500人を超えたという報告も出ているようです。シンガポールは90人、イタリアが400人を超えています。
また、アメリカなどを含め、渡航制限が今後どうなるかも注目しています。現在はアメリカは日本に対してレベル2「高齢者や慢性疾患のある人は、不要な渡航を控え、延期するよう推奨」の設定のようです。
韓国に対しては、さらにレベル3に引き上げられています。
新型コロナウイルスの診断と治療:総説
World Journal of Pediatricsから2/5に発表された、診断と治療の総説的な論文です。
概要
2月の上旬なので、少し古い記載になってしまいますが、小児の新型コロナウイルスの診断と治療に関して、一般的な見解が凝縮されていると思います。
今回はこちらの論文を紹介させていただきます。簡単にまとめのみ、記していきます。
潜伏期間
- 2〜14日(3〜7日が多い)
症状
無症状のこともあるが、
- 微熱
- 呼吸苦は発症してから1週間後くらいが多い
- ただし、数日で急速に悪化するケースもある
血液検査
- CRP:正常〜軽度上昇
- PCT:上昇していた場合は、細菌感染を示唆?
- 肝酵素:上昇することがある
- CK:上昇することがある
- D-dimer:上昇することがある
これ以外にも、過去の症例報告では、LDHが上昇しているものもあるようです。
診断
現状ではRT-PCRが必要で、
- 咽頭・鼻腔
- 痰
- 血液
- 便
から検出されている。
画像診断
- 胸部レントゲンやCT
斑状のすりガラス陰影が、外側に認める
鑑別疾患
- 他のウイルス:RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、インフルなど
- 細菌感染
- マイコプラズマ
など
治療
- 隔離:
疑い症例は個室で隔離、確定したら感染者同士の相部屋は許容 - 一般的な治療法:
十分な栄養・水分・電解質をとる
不安に対する心理的なサポートも忘れずに - 抗ウイルス薬:
IFN-α2bのnebulization
Lopomavir/Litonavir - 抗菌薬:
必要時に使用、ルーチンでの使用は推奨しない - ステロイド:
原則使用しない
喘鳴、脳症、血球貪食症候群など例外はある - BAL:
交差感染の観点から推奨しない
明らかに気道を閉塞するような状態であれば検討 - その他、重症例:
血液浄化
人工呼吸器による呼吸サポート
ECMO
退院の目安
- 呼吸の状態が落ちついて3日以上経過
- 1日以上間隔をあけて、PCRが2回陰性
- 退院後も自宅で14日以上過ごすのが望ましい
感想と考察
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、まだ情報が足りていない印象です。
現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 中国と日本の感染者数の推移
- 小児の診断と治療の総説の解説
についてアップデートさせていただきました。
引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。
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