新型コロナウイルス

小児のCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症) の情報(3月17日版)

今回は、新型コロナウイルスに感染した小児10例の症例集積を紹介させていただきます。

新型コロナウイルスに感染した場合、小児でも多くは発熱と咳がメインの症状のようです。しかし、過去の報告を見ていても、下痢を呈するお子さんがいるのと、咽頭より便のPCRからウイルスの検出が続く例が多いようです。

今回は、その点を言及した論文がありましたので、簡単にご紹介させていただければと思います。

ポイント

  •  新型コロナウイルスに感染した10例の小児
  •  重症例はなし
  •  発熱、咳、下痢が多かった
  •  咽頭からは2週間ほど、便からは最大4週間ほどウイルスが検出
マミー
マミー
感染後、ウイルスはどのくらい排泄されているのですか?

Dr.KID
Dr.KID
意外と便からも長期間、ウイルスが検出されているようですね。

感染者の推移 (3/16):

  •  世界:165,072人
  •  中国:80,860人
  •  日本:812人
  •  韓国:8236人
  •  イタリア:24,747人
  •  イラン:13,989人

イタリアとイランがすごい勢いで増えていいます。気づけば、ヨーロッパの国々も増加傾向にあります。ドイツが5000名前後、スペインが8000名くらいに増加しています。 
アメリカも患者数が徐々に増えてきています。

  小児は新型コロナウイルスが便から長期間排泄されるかも

新しい小児の症例報告を発見したので、簡単にまとめようと思います。

 概要

今回は、新型コロナウイルスに感染した小児10例の症例集積研究です。

咽頭と便からウイルスがどのくらい検出されているかを検査しています。

咽頭からのウイルス検出

咽頭からのウイルスは以下のような結果でした。


(原著より拝借)

多くのお子さんは1週間前後でウイルスの検出量はかなり減っています。およそ2週間あれば、検出量は最低値にまで低下しているのが分かります。

便からのウイルス検出

便からのウイルス検出は以下の通りでした:


(論文より拝借)

咽頭と異なり、やや長期にわたってウイルスが検出され続けているのが分かります。4週間経過してもいまだに検出されていた症例もあるようですね。

Dr.KID
Dr.KID
同じような報告は過去も複数ありました。

症状について

そのほか、症状は以下の通りでした:

  N = 10 %
発熱 7 70%
5 50%
咽頭痛 4 40%
鼻汁 2 20%
下痢 6 60%
症状なし 1 10%
画像    
レントゲン 7 70%
CT (GGO) 5 50%

通常の風邪の症状が多いようですが、下痢を伴うこともあるようですね。

幸い重症化した症例はなかったようです。

 感想と考察

過去の研究にもありましたが、咽頭ぬぐい液から採取したPCR検査は、2週間もあれば消失するようです。一方で、小児のデータでは、便から2週間以上にわたり検出される例があります。

確かにPCRが検出されたからといって、必ず感染性があるとは限りません。単に死滅したウイルスを検出しているだけの可能性もあるからです。

とはいえ、咳は鼻水以外にも、便からも感染しうることは念頭においておいた方が良いでしょう。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、徐々に情報が増えてきた印象です。現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:

Dr.KID
Dr.KID
これまでに私が検索した報告例のまとめです。

まとめ

今回は、

  •  中国と日本の感染者数の推移
  •  10例の小児の症例集積研究

についてアップデートさせていただきました。

引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。