今回は、新型コロナウイルスに感染し、重症化した小児8例の研究結果を紹介させていただきます。
先日、ブログ記事にもした、武漢の小児病院からの報告の延長と思います。
- 新型コロナウイルス感染症の重症例、8例の分析
- 重症例は2ヶ月〜15歳
- 全員、多呼吸があった
- 挿管・人工呼吸器管理が必要だったのは2例
- ICU入室は4例
- 8例中5例は退院
- 他の文献と合わせると1例は死亡
- 2例はICUで治療中
感染者の推移 (3/24):
- 世界:350,589人
- 中国:81,171人
- 日本:1120人
- アメリカ:35,206人
- 韓国:9037人
- イタリア:63,297人
- イラン:23,049人
イタリアとアメリカがすごい勢いで増えていいます。気づけば、ヨーロッパの国々も増加傾向にあります。ドイツが25,000名前後、スペインが33,000名くらいに増加しています。
小児の重症例の報告について
新しい小児の重症例の症例集積を発見したので、簡単にまとめようと思います。
概要
今回は、新型コロナウイルスのPCR検査陽性が確定し、重症となった8名の研究です。
年齢分布
まずは年齢の分布から見ていきましょう。
N | |
年齢 | |
< 1 | 2 |
1-5 | 2 |
6-10 | 1 |
11-15 | 3 |
どの年齢層でも、重症例はいますね。
1例はALL(急性リンパ球性白血病)が、1例は腸重積が、1例は水腎症があったようです。これは既報の通りと思います。
潜伏期間や症状の期間
潜伏期間 | 5〜10日 |
発症〜診断 | 0〜15日 |
症状の期間 | 9日〜28日以上 |
家族内感染あり | 5/8 |
潜伏期間は1週間前後、症状が出て診断されるのも1週間前後ですね。
症状の期間は重症例ですので長く、短くても10日となっています。
症状・診断に関して
症状に関しては、以下の通りでした:
症状 | N | % |
多呼吸 | 8 | 100% |
咳 | 6 | 75% |
発熱 | 6 | 75% |
痰がらみ | 4 | 50% |
吐き気 嘔吐 |
4 | 50% |
下痢 | 3 | 37.5% |
倦怠感 | 1 | 12.5% |
頭痛 | 1 | 12.5% |
発熱、咳、呼吸が苦しそう(多呼吸)といった症状が多い印象ですね。
CT所見
CT所見は以下の通りでした:
CT所見 | N | % |
すりガラス陰影 | 7 | 87.5% |
多発性の斑状影 | 8 | 100% |
こちらも既報と似ていて、すりガラス陰影が多いようですね。
重症例・死亡例について
ICU入室が必要だったのは、4例のようです:
- 水腎症(1歳1ヶ月)
- 白血病(8歳)
- 腸重積(10ヶ月)
- 基礎疾患なし?(13歳)
だったようです。
こちらの報告には書かれていませんでしたが(下の記事に記載)、腸重積のあった10ヶ月の小児は、多臓器不全となり、入院後4週間で死亡したようです。
母から新型コロナウイルスをもらったようです。母も重症化してしまっているようです。
1歳1ヶ月の小児は、すでに退院できているようです。
白血病のある8歳小児と、基礎疾患が特にない13歳の小児は、まだICUにいるようです。
治療について
治療は以下の通りでした:
項目 | 人数(/8) |
酸素投与 | 6 |
人工呼吸器 | 2 |
抗菌薬 | 5 |
抗ウイルス薬 | 8 |
ステロイド | 5 |
IVIG (免疫グロブリン) |
4 |
漢方? | 4 |
血漿交換 | 1 |
輸血 | 1 |
感想と考察
大きめのデータなので、小児における全体像がつかみやすかったです。
入院した小児で、酸素需要があったのは2.3%、ICU入室となったのが1.8%、死亡例が0.6%でした。
最重症となる例は、割合としては、成人と比較して多くはない印象です。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、徐々に情報が増えてきた印象です。現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 中国と日本の感染者数の推移
- 小児の171例の解析結果
についてアップデートさせていただきました。
引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。
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