今回は、新型コロナウイルスに感染した妊婦・新生児の症例集積を紹介させていただきます。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した妊婦から出生した新生児の33例の症例集積になります。
COVID-19に罹患した母から出生した新生児33人を分析した研究:
検査陽性例が3人おり, 全員が帝王切開で出生し肺炎と診断されていた.
在胎40週で出生した2人では発熱もみられていたが改善した.在胎31週で出生した早産児も1人おり, そこの解釈は難しいところですね.
https://t.co/GXlPX4qbJo— NS@小児科医 (@nuno40801) March 27, 2020
先日、NS先生もツイートされていた論文です。
過去にも複数の妊婦・新生児感染が報告されています。垂直感染か否かは、はっきりとわかっていません。
- 新型コロナウイルスに感染した妊婦から出生した新生児33例の報告
- 3例が感染。1週間ほどで検査陰性になった。
妊婦の感染例の症例集積について
新しい妊婦・新生児の感染例の症例集積を簡単にまとめようと思います。
概要
新型コロナウイルスに感染した妊婦から出生した33例の新生児。
3例はPCR陽性が判明。画像所見では、肺炎像があるも、1週間ほどでPCRは陰性化。重症化することはなかったようです。
1例目
妊娠40週、帝王切開で出生。出生後2日目に発熱あり、NICUに入室となった。
画像所見で肺炎像あり。PCR検査をしたところ、2日目、4日目は新型コロナウイルス陽性であった。
6日目には検査が陰性となったとのこと。重症化はなし。
2例目
40週4日、帝王切開で出生。出生後に発熱あり、画像検査で肺炎像あり。
新型コロナウイルスのPCRを行なったところ、2日目、4日目に陽性。6日目には陰性となった。
3例目
妊娠31週2日で出生。帝王切開で出生。
Apgar scoreは3点(1分)、4点(5分)、5点(10分)。
画像検査で肺炎像あり。経過中に敗血症。重症化は、新型コロナウイルスというより、早産の影響が大きい、というのが著者らの見解。
PCRは2日目、4日目に陽性、7日目に陰性となった。
感想と考察
ここ最近、感染した妊婦から出生した新生児の報告が増えています。今回は33例中3例が感染していたようです。
垂直感染か、出生後の暴露による感染かは興味がありますが、この論文では不十分な印象です。この報告に、羊水・胎盤・臍帯血の情報があれば、垂直感染か否かの判断材料になったと思いますが、この情報がないため、曖昧な印象です。
あと、母乳中にコロナウイルスが検出されたのかも、母乳栄養の継続という観点からは気になるところですが、データはありませんでした。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、徐々に情報が増えてきた印象です。現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 新型コロナウイルスに感染した妊婦と新生児33例
についてアップデートさせていただきました。
引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。
新刊(医学書):小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/11/21 01:00:58時点 Amazon調べ-詳細)
新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
noteもやってます
当ブログの注意点について