小児において、新型コロナウイルス(2019-nCoV)がいつまで排泄されるか気になっている方も多いでしょう。
今回は、症例集積研究のご紹介で、軽症であった小児において、ウイルスがどの程度排泄されていたかを検討した研究の解説をしようと思います。
新型コロナウイルスに感染した、10例の小児の症例集積の報告です。
小児は症状が軽度、軽快した後も、呼吸器や便からウイルスが比較的長期間排泄されていたよう
A Case Series of children with 2019 novel coronavirus infection: clinical and epidemiological features.https://t.co/zrJfPX0vKO
— Dr. KID (@Dr_KID_) March 1, 2020
ほぼ無症状ではあったが、16日間に渡り、咽頭スワブからウイルスは検出され続けていたとのことです。
- 上海からの小児10例の報告
- かぜ症状がメインで重症なし
- 鼻咽頭からは1〜3週間、便からは1ヶ月ほどウイルスが検出
感染者の推移 (3/3):
- 世界:90,705人
- 中国:80,151人
- 日本:275人
- 韓国:4812人
- イタリア:2036人
韓国で感染者数が4,500人を超えたという報告も出ているようです。シンガポールは100人、イタリアが2,000人を超えています。
新型コロナウイルスの排泄期間の報告
今回は、Clinical infectious diseaseという感染症の英文誌から報告された新型コロナウイルス感染(COVID-19)の症例集積を見ていきましょう。
上海からの報告になりますが、小児の感染10例の報告です。
概要
1月19〜2月3日の間に新型コロナウイルス(2019-nCoV)の感染が確定し、上海の小児病院に入院した小児の症例集積となります。
感染の経路は?
8割の小児は、新型コロナウイルス感染のある成人との接触歴があったようです。
潜伏期間は?
小児のほとんどは感染した成人からの二次感染だったようです。感染者に接触してから発症するまでの期間は、2〜10日(平均6.5日)くらいだったようです。
症状は?
症状のまとめは以下の通りです:
症状 | % |
発熱 | 80% |
発熱期間 | 1日 |
咳 | 60% |
くしゃみ | 20% |
鼻閉 | 30% |
鼻汁 | 20% |
咽頭痛 | 40% |
呼吸苦 | 0% |
下痢 | 0% |
レントゲンは?
レントゲンは40%で異常を認めたようです。
ウイルスの排泄は?
気になるウイルスの排泄期間ですが、以下の通りでした
検体 | |
陽性例 鼻腔・咽頭 |
10/10 |
期間 | 8〜22日 |
陽性例 便 |
5/6 |
期間 | 10〜30日以上 |
尿と血液はいずれも陰性だったようです。
感想と考察
10人の小児感染例における症例集積ですが、幸い誰も重症化はしなかったようです。また、貴重な臨床データを提示してくれています。
ウイルスの排泄期間は、思いの外長いですね。鼻咽頭で陽性が出た期間は、長い3週間ほど、便に関しては1ヶ月近く排泄が続いていたようですね。感染を広げないという観点からは、インフルエンザなどのように症状が軽快しても、一定期間は接触を避ける必要がありそうです。国内外を含め、多くの機関や病院は2週間を目処にしていますが、小児でどうするかの議論も必要かもしれません。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、まだ情報が足りていない印象です。
現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 中国と日本の感染者数の推移
- 上海からの小児10例の症例集積
についてアップデートさせていただきました。こちらの症例集積には、新型コロナウイルス感染後のウイルスが検出される期間の報告が記載されていました。
引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。
森戸やすみ先生が新しい書籍を出すようですね↓↓
ホームケア解説本はこちら↓↓
(2024/12/04 01:37:09時点 Amazon調べ-詳細)
当ブログの注意点について