今回は、新型コロナウイルスの入院患者における特徴を記した、ニューヨークの小児病院の単施設研究を紹介しようと思います。
- 検査陽性67名のうち、入院は46例
- 入院46例のうちICU入室は13例
- ICU入室患者の多くは呼吸不全またはDKA
- 13例中1例は死亡
新型コロナウイルスの入院患者の特徴を記した単施設研究です
研究の概要
目的
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により入院した小児において、重症化に関する臨床プロファイルおよび危険因子を記述すること。
研究デザイン
2020年3月15〜4月13日に、三次医療を担う小児病院に入院した、1か月~21歳の小児を対象とし、患者背景情報や臨床データを収集し記述した。
NYにある小児病院のようですね。
結果
新型コロナウイルス陽性と判定された小児67例のうち、21例 (31.3%) は外来で管理した。
46名の入院患者のうち、 33名 (72%) は一般小児医療ユニットに、 13名 (28%) は小児集中治療室 (PICU) に入院した。
肥満と喘息の罹患率は高かったが、 PICU入院との関連はほとんど認めなかった 。
PICUへの入室は、CRP高値、プロカルシトニン高値、pro BMP高値、および血小板数と関連していた。
PICUの患者は、高流量鼻カニューレを必要とする可能性が高く 、レムデシビルを投与された可能性が高かった 。
重症敗血症と敗血症性ショック症候群がPICU患者7名 (53.8%) に認められた。
急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) はPICU患者10名 (77%) に認められ、そのうち6名 (46.2%) は中央値9日間の侵襲的機械的人工換気を必要とした。
PICUに入室した13例のうち、 8例 (61.5%) は退院し、 4例 (30.7%) は第14病日に人工呼吸管理下で入院しており、 1例は転移癌のため延命治療を中止した後に死亡した。
結論
新型コロナウイルス感染症において、これまでに報告されてたICU入室を必要とするほどの重症化率より、高い入室率を著者らの病院において認めた。
感想と考察
内容とはあまり関係ないですが、Journal of PediatricsのAbstractは、P = xxxxを連発していて、そろそろこういう形式はやめた方が良いかと思いました。P値を羅列するのではなく、effect estimate(ORなど)と95%CIを提示した方が、誤解・誤読が少ないように思います。小児科系の雑誌で大手なので、この辺りはしっかりして欲しいですね。
まとめ
今回は、アメリカの小児病院単施設の症例集積研究でした。
この病院では、ICU入室率が比較的高かったようです。多くは、肺炎からの呼吸不全で、二型糖尿病が基礎疾患にあり、糖尿病性ケトアシドーシスを生じた症例もあったようです。
Dr. KIDの書籍(医学書)
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/11/21 01:00:58時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
新刊(医学書):小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
Noteもやっています
当ブログの注意点について