5−11歳の小児への新型コロナワクチンに有効性はあるのか検討した研究はいくつかあります。
今回はその1つをご紹介いたします。
- omicron variant が優勢であった期間に,BNT162b2 ワクチン接種により,5 ~ 11 歳の小児における SARS-CoV-2 感染および Covid-19 関連の入院のリスクが低下した.
Cohen-Stavi CJ, Magen O, Barda N, Yaron S, Peretz A, Netzer D, Giaquinto C, Judd A, Leibovici L, Hernán MA, Lipsitch M, Reis BY, Balicer RD, Dagan N. BNT162b2 Vaccine Effectiveness against Omicron in Children 5 to 11 Years of Age. N Engl J Med. 2022 Jul 21;387(3):227-236. doi: 10.1056/NEJMoa2205011. Epub 2022 Jun 29. PMID: 35767475; PMCID: PMC9258754.
2022年にシンガポールから公表されたようです。
新型コロナワクチンの小児への有効性について[シンガポール編]
研究の背景/目的
2021年11月初旬に初めて確認されて以来、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のB.1.1.529(オミクロン)変異型は急速に広がり、多くの国でB.1.617.2(デルタ)変異型に代わって優勢になっている。
小児におけるオミクロン変異体に対するワクチンの実際の有効性に関するデータは不足している。
研究の方法
omicron variantが急速に広がっていた2022年1月21日から2022年4月8日に実施した研究で、シンガポールの5歳から11歳の小児のデータを分析した。
ワクチン未接種,部分接種(ワクチン初回接種後 1 日以上,2 回目接種後 6 日まで),完全接種(2 回目接種後 7 日以上)の小児の,報告されたすべての SARS-CoV-2 感染症(PCR法,迅速抗原検査,またはその両方で確認),PCR法で確認した SARS-CoV-2 感染症,新型コロナウイルス感染症 2019(COVID-19) 関連の入院を発生率で評価した.
研究の結果
合計255,936人の小児が解析に含まれた。
ワクチン未接種の小児では,報告されたすべてのSARS-CoV-2感染,PCRで確認されたSARS-CoV-2感染,COVID-19関連入院の粗発生率は,それぞれ100万人日あたり3303.5,473.8,30.0人であった.
部分接種児におけるワクチン効果は,すべての SARS-CoV-2 感染に対して 13.6%(95% 信頼区間 [CI], 11.7~15.5),PCR 確認 SARS-CoV-2 感染に対して 24.3%(95% CI, 19.5~28.9),COVID-19関連入院に対して 42.3%(95% CI, 24.9~55.7) のワクチン効果があった.
完全接種児では,ワクチンの有効性はそれぞれ 36.8%(95% CI,35.3~38.2),65.3%(95% CI,62.0~68.3),82.7%(95% CI,74.8~88.2 )であった.
結論
omicron variant が優勢であった期間に,BNT162b2 ワクチン接種により,5 ~ 11 歳の小児における SARS-CoV-2 感染および Covid-19 関連の入院のリスクが低下した.
考察と感想
シンガポールの背景についても少し記載されていました。
学校はマスクの使用を義務付けて開校しましたが、12歳未満の子どもには、ワクチン接種が完了していない大人が特定の会場に入ることを制限する措置はとられませんでした。
シンガポールでは、2021年12月27日から、5歳から11歳の小児にBNT162b2の10μgを21日以上あけて2回投与するワクチン接種をしていたようです。
まず年長児(9歳から11歳)から開始し、2週間後に5歳から8歳の小児に実施していたようです。
また、シンガポールではワクチン接種は任意であり、保護者の同意が必要です。
Resultには、67.7%が2回接種を、12%は1回接種を、20.3%は接種をしなかったようです。 約26万人の小児がいて、入院したのは288人、酸素投与は5名、4名はICU入室となっていたようです。
デルタ株と比較して感染予防に対する有効性は低下していたようです(40%くらい vs. 90%).
まとめ
omicron variant が優勢であった期間に,BNT162b2 ワクチン接種により,5 ~ 11 歳の小児における SARS-CoV-2 感染および Covid-19 関連の入院のリスクが低下した.
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