新型コロナウイルスに関して、世界各国でソーシャル・ディスタンス、いわゆる3蜜を避ける、が行われています。
今回は、これらを検討したアメリカの研究を調べてみました。
- アメリカ・シアトルにおけるソーシャルディスタンスの効果を予測
- 行うタイミング・強度・年齢層で結果は異なる
新型コロナウイルスにおける、ソーシャルディスタンスの効果を予測・推定したアメリカの研究です。
研究の概要
2020年4月にアメリカ・シアトルの研究者らの報告があります。感染症疫学モデルを用いて、流行の初期に異なる強度・年齢層に6週間のソーシャル・ディスタンスを行なった場合の感染者数の推移を推定しています。
例えば、流行の初期(最初の感染者の報告から50日目)に60歳以上の成人を対象にソーシャルディスタンスを行なった場合、感染者数は24%減少すると推定されています。60歳以上の成人と小児を同時に行なった場合は感染者数が57%減少、成人のみの場合は41%減少と推定されています。一方で、6週間のソーシャルディスタンスの期間が終了すると、リバウンドが生じる可能性も指摘されています。
やや遅れて(最初の感染者から80日後)6週間のソーシャルディスタンスを行うとどうなるのでしょうか。
やや遅れてソーシャル・ディスタンスを行なった場合、どの強度でもピークが抑えられているのがわかります。
一方で、強度が強いほど(25%→95%)、対象年齢が広いほど(紫)、ピークを抑え込む力は強いですが、ソーシャルディスタンス終了後に大きなリバウンドが生じています。
感想と考察
あくまで理論上のシミュレーションですが、学校閉鎖などを含むソーシャル・ディスタンスは、そのタイミング・対象世代・強度で結果が変わってくるようです。
まとめ
感染症疫学モデルを使用した、理論上のシミュレーションですが、学校閉鎖などを含むソーシャル・ディスタンスは、そのタイミング・対象世代・強度で結果が変わってくるようです。
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