今回は日本におけるCOVID-19パンデミックの第1波における医療利用状況とRT-PCR検査についての研究の紹介になります。
Kurihara M, Kamata K, Nakahara S, Kitazawa K, Koizumi S, Tokuda Y. Healthcare use and RT-PCR testing during the first wave of the COVID-19 pandemic in Japan. J Gen Fam Med. 2021 Nov 30;23(1):3-8. doi: 10.1002/jgf2.512. PMID: 35004104; PMCID: PMC8721334.
日本におけるCOVID-19パンデミックの第1波における医療利用状況とRT-PCR検査について[日本編]
研究の背景/目的
COVID-19の制圧には,迅速な検査,接触者の追跡,有症者の隔離が標準となっている.
しかし,2020年春,日本ではガイドラインを用いたRT-PCR検査政策が採用され,低リスク患者において,国民が4日以上軽い症状がある場合に病院や診療所を受診すること(「4日ルール」)とされた。
ガイドラインが適用された期間中の患者の医療機関利用や検査経験については不明である。そこで、この期間中に風邪のような症状が出た患者の医療機関への受診や検査について調査した。
研究の方法
本調査は、2020年9月に日本全国の成人を対象とした全国代表サンプルを対象にインターネットで実施した。
ガイドラインに対する国民の理解度を調査した。
また、新たに発症した風邪のような症状に気づいた場合の医療機関受診や検査の経験について質問した。
研究の結果
調査対象者2,137名のうち、1,698名(79.5%)がガイドラインを認知していたが、422名(19.7%)は内容を誤解をしていた。
風邪症状を発症した人は144人(2,137人中6.7%)で、その多くは保健所への電話連絡も通じず、25人(144人中17%)が医療機関を受診した。
この25名の症状者のうち、15名(60%)が医師(14名)や地域の保健所(1名)の判断によりPCR検査を受けることができなかった。
結論
日本におけるパンデミックの第一波では、有症状者の医療や検査の利用は少なかった。
日本でCOVID-19が疑われる患者に効果的な医療を提供するためには、検査能力を向上させる必要がある。
考察と感想
「喉元を過ぎれば熱さを忘れる」なのかもしれないですが、コロナ禍の初期に検査体制がなく、診療の受け入れも不十分であった点は記憶に留めておく必要があるかと思いました。
Dr. KIDの執筆した書籍・Note
絵本:めからはいりやすいウイルスのはなし
知っておきたいウイルスと体のこと:
目から入りやすいウイルス(アデノウイルス)が体に入ると何が起きるのでしょう。
ウイルスと、ウイルスとたたかう体の様子をやさしく解説。
感染症にかかるとどうなるのか、そしてどうやって治すことができるのか、
わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/12/21 11:30:52時点 Amazon調べ-詳細)
絵本:はなからはいりやすいウイルスのはなし
こちらの絵本では、鼻かぜについて、わかりやすいストーリーと絵で展開します。
(2024/12/21 13:39:04時点 Amazon調べ-詳細)
絵本:くちからはいりやすいウイルスのはなし
こちらの絵本では、 胃腸炎について、自然経過、ホームケア、感染予防について解説した絵本です。
(2024/12/21 13:39:05時点 Amazon調べ-詳細)
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
1冊で2度美味しい本です:
(2024/12/21 02:10:50時点 Amazon調べ-詳細)
小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
医学書:小児の抗菌薬のエビデンス
こちらは、私が3年間かかわってきた小児の抗菌薬の適正使用を行なった研究から生まれた書籍です。
日本の小児において、現在の抗菌薬の使用状況の何が問題で、どのようなエビデンスを知れば、実際の診療に変化をもたらせるのかを、小児感染症のエキスパートの先生と一緒に議論しながら生まれた書籍です。
noteもやっています