賢明な医療の選択

適切な診察および単純X線などの検査が完了するまで、小児の筋骨格系疾患の多くに対して、高度な画像検査をしない[Choosing wisely]

今回は、小児の筋骨格系疾患とCT/MRI検査に関してです。

この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。

ユーキ先生
ユーキ先生
筋骨格系疾患とCT/MRI検査に関して、どうなっているのでしょうか?

Dr.KID
Dr.KID
Choosing wiselyを見てみましょう。

ポイント

  •  Choosing wisely:筋骨格系疾患とCT/MRI検査
  •  検査の適応を事前にしっかりと検討する

  American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely

適切な診察および単純X線などの検査が完了するまで、小児の筋骨格系疾患の多くに対して、高度な画像検査をしない[Choosing wisely]

Do not order advanced imaging studies (MRI or CT) for most musculoskeletal conditions in a child until all appropriate clinical, laboratory and plain radiographic examinations have been completed.

History, physical examination, and appropriate radiographs remain the primary diagnostic modalities in pediatric orthopaedics, as they are both diagnostic and prognostic for the great majority of pediatric musculoskeletal conditions. Examples of such conditions would include, but not be limited to, the work up of injury or pain (spine, knees and ankles), possible infection, and deformity. MRI examinations and other advanced imaging studies are costly, frequently require sedation in the young child (5 years old or less), and may not result in appropriate interpretation if clinical correlations cannot be made. Many conditions require specific MRI sequences or protocols best ordered by the specialist who will be treating the patient. Inappropriately obtained MRIs may need to be repeated in those circumstances. Additionally, a significant dose of radiation is delivered to the patient during a CT scan, so their utility in a specific case would be best confirmed prior to ordering. Therefore, in those conditions where advanced imaging is indicated, it has greater value when it is used to answer a specific question that arises from a thorough clinical and appropriate radiographic evaluation. Additionally, if you believe findings warrant additional advanced imaging, discuss with the consulting orthopaedic surgeon to make sure the optimal studies are ordered.

適切な臨床所見、臨床検査、および単純X線写真の検査がすべて完了するまで、小児の筋骨格系疾患の多くに対して、高度な画像検査(MRIまたはCT)を指示してはならない。

小児整形外科では、病歴、身体検査、および適切なX線写真が、大多数の小児の筋骨格系疾患の診断および予後診断のための主要な診断手段である。

そのような症状の例としては、怪我や痛み(脊椎、膝、足首)、感染症の可能性、変形などがありますが、これらに限定されるものではありません。

MRI検査やその他の高度な画像診断には費用がかかり、幼い子供(5歳以下)には鎮静剤が必要となることが多く、また、臨床的な相関が得られない場合には適切な解釈ができないこともあります。

多くの疾患では、特定のMRIシーケンスやプロトコルが必要であり、患者を治療する専門家に依頼するのが最善である。

そのような状況では、不適切に取得されたMRIを再度使用する必要があるかもしれません。

また、CTスキャンでは患者に大量の放射線が照射されるため、特定の症例におけるCTスキャンの有用性は検査前に確認することが望ましい。

したがって、高度な画像診断が適応となる場合は、徹底的な臨床検査と適切なX線画像の評価から生じる特定の疑問に答えるために使用される場合に、より大きな価値があります。

さらに、所見が追加の高度な画像診断を必要とすると考えられる場合には、相談を受けた整形外科医と相談し、最適な検査をオーダーするようにしてください。

考察と感想

小児の筋・骨格系疾患に対して、しっかり適応を判断してから検査をすべきというのは、その通りと思います。

特に小児において、撮影の際に動かないというのがネックで、乳幼児の場合は鎮静が必要になります。

 

参考文献を読んで勉強しようと思います:

Piccolo CL, Galluzzo M, Ianniello S, Trinci M, Russo A, Rossi E, Zecconlini M, Laporta A, Guglielmi G, Muiele V. Pediatric musculosketetal injuries: role of ultrasound and magnetic resonance imaging. Mesculoskelet Surg. 2017 Mar; 101(Supple 1):85-102.

LaBella CR, Hennrikus W, Hewett TE. Anterior cruciate ligament Injuries: Diagnosis, Treatment, and Prevention. Pediatrics 2014;133(5):e1437-e1450.

Tuite MJ, Kransdort MJ, Beaman FD, Adler RS, Amini B, Appel M, Bernard SA, Dempsey ME, Fries IB, Greenspan BS, Khurana B, Mosher TJ, Walker EA, Ward RJ, Wessell DE, Weissman BN. ACR Appropriateness Criteria® Acute Trauma to the Knee. Available at https:acsearch.acr.org/docs/69419/Narrative/ American College of Radiology. Revised 2014.

Deyle GD. The role of MRI in musculoskeletal practice: a clinical perspective. J Man Manip Ther. 2011 Aug;19(3):152-161.

Bateni C, Bindra J, Haus B. MRI of sports injuries in children and adolescents: what’s different from adults. Current Radiology Reports. 2014;2:45.

まとめ

今回は、筋骨格系疾患とCT/MRI検査に関するchoosing wiselyをご紹介しました。

これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。