デキストロメトルファン(メジコン®️)は、特に咳に対して処方されることがありますが、いくつか副作用があります。例えば、眠気・動悸・だるさなどは有名です。
一般に、かぜ薬には効果は少ななく、抗ヒスタミン薬や強い咳止め(コデインやデキストロメトルファン)には、副作用を引き起こす可能性があるため、4−5歳未満の小児には推奨されていません。
今回は、デキストロメトルファンをトピックにした論文です。
- デキストロメトルファンの副作用を報告した論文
- 4歳未満、シロップによる過量投与が多い
- ふらつく、傾眠、散瞳、動悸が多かった
Paul IM, Reynolds KM, Kauffman RE, Banner W, Bond GR, Palmer RB, Burnham RI, Green JL. Adverse events associated with pediatric exposures to dextromethorphan. Clin Toxicol (Phila). 2017 Jan;55(1):25-32.
4歳未満の小児は、デキストロメトルファンの投与は推奨されていません。
デキストロメトルファン(メジコン®️)の副作用は?[眠気・動悸]
研究の背景
デキストロメトルファンは最も一般的な市販の鎮咳薬である。
咳や風邪の市販薬の監視プログラムから, 12歳未満の子供におけるデキストロメトルファンと関係した有害事象の性質を検討した。
研究の方法
本研究は、米国の複数のシステム(National Poison Data System、FDA Adverse Event Reporting System、メーカーの安全性報告、ニュース/メディア、医学文献)を利用して行われた。
2008-2014年において、デキストロメトルファンの1つ以上の有害事象が報告された症例集積である。
専門家委員会は,曝露と有害事象,推定摂取量,曝露意図との関係を調査した。
研究の結果
デキストロメトルファンとの関連性が疑われる有害事象が1件以上認められた報告は、1716例において認められた。このうち、1417は単剤への暴露であった。
773/1417 (55%) は単一成分デキストロメトルファン生成物のみを含んだ (デキストロメトルファンのみ) 。
デキストロメトルファンのみの症例では、3%が治療量を摂取した後であった;78%は過量投与後であった。
69%は監視されていない状況での自己投与で, 60%は4歳未満の子供で生じた。
副作用
死亡や病的不整脈は発生しなかった。
中枢神経系[例,運動失調(420例)]と自律神経症状[例,頻脈(224例)]が最も一般的な有害事象であった。
紅潮および/または蕁麻疹様の発疹が患者の18.1%に生じた。
ジストニアは5.4%に生じた。
結論
デキストロメトルファンのみの摂取後のこの多面的サーベイランスプログラムでは,死亡者は確認されなかった。
有害事象は主に過量投与と関連し,最も一般的に中枢神経系と自律神経系に影響した。
考察と感想
副作用を含む有害事象の症例を集めた研究でした。傾向としては、
- 4〜6歳未満が多い
- 過量投与に伴うものが多い
- シロップの報告が多い
といった傾向にあったのがわかります。
有害事象としては、ふらつく、傾眠、散瞳、動悸の順に報告例が多かったようです。
まとめ
今回は、デキストロメトルファンによる有害事象の症例集積研究を紹介しました。
4歳未満、シロップによる過量投与が多く、症状としてはふらつく、傾眠、散瞳、動悸が多かったようです。
小児で使用される咳止め(デキストロメトルファン)のエビデンスをまとめたnoteもあります。
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