前回まで、コデインを含んでいた市販薬や医療用医薬品(処方薬)について解説してきました。
とはいえ、外来でコデインを処方されるケースは非常に少ないですし、コデインは2019年より使用の規制が厳しくなったため、使用例は減っていくと思います。
コデインの次に強い咳止めといえば、デキストロメトルファンをイメージする方が多いかもしれません。
今回は、まずはデキストロメトルファンを含む医薬品をリストアップしてみようと思います。
大まかにはweb検索と今日の治療薬をもとに掲載しますので、ひょっとしたら、抜け落ちてしまうと思いますが、ご容赦ください。
デキストロメトルファンについて
咳止め薬のことを正式には「鎮咳薬」と呼ぶことがあります。
大きく分けて麻薬性鎮咳薬と非麻薬性鎮咳薬の二種類に分かれます。
前者はコデインが該当し、後者は今回ご紹介するデキストロメトルファン(メジコン®︎)やチペピジン(アスベリン®︎)になります。
鎮咳薬の作用機序として、脳にある咳中枢に作用することで、咳止めの効果を発揮します。
これは、麻薬性でも非麻薬性でもかわりませんが、一般的に麻薬性の方が作用が強いと言われています。
デキストロメトルファンを代表とする非麻薬性鎮咳薬の副作用ですが、めまい、口渇、眠気、食欲不振、便秘、頻脈などがあります。
小児ではあまり処方されることがありませんが、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO)と併用するとセロトニン症候群を起こすことがあるため、禁忌と言われています。
デキストロメトルファンを含む市販薬リスト
製造会社 | 商品名 | 対象年齢 |
LION | キッズバファリンせきどめシロップS キッズバファリンかぜシロップS キッズバファリンかぜシロップP |
生後3ヶ月以上 |
大正製薬 | パブロンキッズかぜシロップ パブロン学童用 |
生後3ヶ月以上 5歳以上 |
ロート製薬 | ドリスタンジュニアL2 ドリスタンジュニアG2 |
7歳以上 |
サトウ製薬 | 学童ストナ | 7歳以上 |
日野薬品工業 | ノスポールこどもかぜシロップS | 生後3ヶ月以上 |
ムヒ | こどもせきどめシロップSa | 生後3ヶ月以上 |
宇津救命丸 | 宇津こどもせきどめ | 1歳以上 |
新生薬品工業 | カコナールこどもシロップa | 生後3ヶ月以上 |
*注:一部の市販薬は既に製造・販売が中止となっています。
市販薬を調べた感想
処方薬しかないものと思っていたら、意外にも市販薬にも含まれているようでした。
実を言うと、実臨床で小児を相手にデキストロメトルファンを処方する機会ですが、私個人としては、ほとんどありません。(理由は、後日、過去の研究結果とともにお話できればと思います)
気になった点としては、生後3ヶ月から服用可能となっている点です。
小児科医個人としての考えですが、この薬を乳幼児に使用したケースはないですし、多くの小児科医も同様のプラクティスであると考えています。
また、過去の臨床研究で有効性を検討したものでは、2歳以上を対象にした研究が多く、2歳未満の乳幼児への科学的根拠は乏しいと考えています。
デキストロメトルファンを含む処方薬(医療用医薬品)
製造会社 | 薬剤名 | その他 |
塩野義 | メジコン | 散、配合シロップ |
鶴原製薬 | アストマリ | 細粒 |
東和薬品 | シーサール | 散 |
ニプロなど | デキストロメトルファン臭化水素酸塩 |
メジコン®︎という商品名が聞きなれていたのですが、これ以外にも処方薬としてあったのですね。
私自身、メジコン自体もほとんど処方していないので、意外と勉強になりました。
まとめ
ひとまず、こちらで小児の非麻薬性鎮咳薬として処方されることがあるデキストロメトルファンについて、まずは商品名・薬剤名のまとめを記載しました。
次回からは、過去の有効性・副作用を検討した研究結果を少しずつご紹介していきたいと思います。
デキストロメトルファン(メジコン®︎)について気になった方は、こちらでコデインと一緒に有効性の検討をしています。