これまでドンペリドン(ナウゼリン®︎)の有効性を報告した論文を紹介してきました。
過去に行われた系統レビューを網羅できているか自身がないため、今回のはコクランのシステマティク・レビューを参考することにしました。
システマティック・レビューの結果
2011年に行われた系統レビューの結果をみると、以下の論文が該当したようです:
- Van Eygen M, et al. A double blind comparison ofdomperidone and metoclopramide suppositories in the treatment of nausea and vomiting in children. Postgraduate Medical Journal 1979;55(Suppl 1):36–9.
1本しか該当せず、メタ解析は不可能であるため、除外されてしまっています。
こちらの論文、私のほうでも取得を試みている途中です。みつかり次第、お知らせできればと思います。
さらに、NCTに登録されている研究も出てきました。
- NCT01257672
こちらの研究は、イタリアで2011年に登録されたものでした。実はこの研究は、すでに発表されたものでして、以下の記事になります。
オンダンセトロン、ドンペリドン、プラセボで比較をしています。
ドンペリドンについては、プラセボと比較しても、嘔吐・入院率などにおいて有効性を見出すのが難しそうな印象です。
その他の研究
その他の研究ですが、日本国内からも複数の論文があります。最新のものはこちらです。こちらは最近、出版されたものです。
ドンペリドンを使用するとわずかに嘔吐の割合が減るかもしれませんが、逆に下痢の可能性も高まるのかもしれませんが、この結果のみでは、白黒はっきりさせるのは難しいと感じました。
1980年にもドンペリドンを使用した研究がされております。
主観的な評価が多く難点が多いですが、ドンペリドンの有効性を示唆するような内容でした。
現時点での問題点
現時点での問題点ですが、ドンペリドン(ナウゼリン®︎)は長らく小児科外来でも使用されてきた薬ですが、科学的根拠としては不十分といわざるを得ない印象です。
数個の研究しかなく、さらにそれぞれの研究のアウトカムにややばらつきがあり、メタ解析で統合するのも難しそうな印象もあります。
印象としては、有効性はあまりなさそう〜あってもわずか、という感じですね。
まとめ
今回はコクランのシステマティック・レビューを参照しながら、ドンペリドン(ナウゼリン®︎)の有効性を検討してみました。
外来で処方される機会が多いわりに、その有効性の評価はまだ不十分な印象です。今後、もう少しエビデンスが蓄積して、メタ解析などが施行できるのが望ましいでしょう。