今回は、乗り物いに対して抗ヒスタミン薬は有効か、安全かを検証したRCTの紹介です。
- 船酔いに対してシンナリジンの有効性を検証したRCT
- 乗り物酔いの予防において、プラセボと比較して、シンナリジン 50mgは有効であることが示唆されました。
- 一方で、シンナリジン 25 mgでは不十分かもしれません。
Doweck I, Gordon CR, Spitzer O, Melamed Y, Shupak A. Effect of cinnarizine in the prevention of seasickness. Aviat Space Environ Med. 1994 Jul;65(7):606-9. PMID: 7945126.
1994年にイスラエルから公表されたようです。
船酔い予防におけるcinnarizineの効果[イスラエル編]
研究の背景/目的
二重盲検プラセボ対照試験において、非常に荒い海での船酔いの予防におけるcinnarizineの2つの異なる用量の効果を評価した。
研究の方法
健康な男性95名を3群に分け、cinnarizine 50 mg、cinnarizine 25 mg、およびプラセボを投与した。
船酔いしやすさの評価には、過去の航海の状況(船酔いしやすさ)、波3.5mの荒海での4~6時間の航海直後の状況(船酔いしやすさ)を質問票により検討した。
また、薬剤の副作用の可能性については、さらにアンケートに回答してもらった。
研究の結果
Cinnarizine 50 mgを投与された31名の被験者のうち、65%が今回の航海で以前の航海よりも気分が良くなったと感じたのに対し、Cinnarizine 25 mgを投与された32名のうち41%、プラセボを投与された32名のうち31%が、今回の航海で気分が良くなったと感じた。
また、cinnarizine 50 mg投与群とプラセボ投与群の間に有意差(p<0.05)が認められたが、cinnarizine 25 mgはプラセボと比較して有効性が認められなかった。
また、いずれの薬剤群にも目立った副作用は認められませんでした。
結論
cinnarizine 50 mgは荒天時の船酔い防止に有効であることが明らかとなった。
考察と感想
Cinnarizineは第1世代の抗ヒスタミン薬です。
カルシウム拮抗薬の作用もあり、シンナリジンはかつて脳代謝改善薬として広く使われましたようです。
国外では、乗り物酔いや化学療法、めまい、メニエール病などの他の原因による吐き気と嘔吐に処方されることがあるようです。
しかし、シンナリジンによるパーキンソニズムがしばしば見られたため、日本ではすでに発売停止になっています。
まとめ
船酔いに対してシンナリジンの有効性を検証したRCTです。
乗り物酔いの予防において、プラセボと比較して、シンナリジン 50mgは有効であることが示唆されました。
一方で、シンナリジン 25 mgでは不十分かもしれません。
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