小児科

アトピー性皮膚炎・湿疹・乾燥肌のある子供が、日常生活で気をつけて欲しいこと

小児(特に乳幼児)は皮膚トラブルが非常に多いです。
乳児湿疹になったり、乾燥肌が改善しなかったり、アトピー性皮膚炎を発症してしまうこともあります。

今回は、子供がアトピー性皮膚炎や湿疹になってしまった場合に、日常生活で気をつけることを解説していきます。

Dr.KID
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乳幼児は皮膚トラブルが多いので、気をつけてほしいことがいくつかあります。

悪化因子を避けましょう

アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリアが弱くなっています。
弱くなった皮膚のバリアから、アレルゲン(アレルギーの原因物質)が侵入しないように注意しましょう。

皮膚を守ろう!

皮膚をしっかりガードするには;

  1. スキンケア
  2. 身のまわりを綺麗にすること

の2点が大切です。

スキンケアのポイント

スキンケアのポイントですが;

  1. 皮膚の清潔と保湿
  2. 爪は短く
  3. 前髪や襟足を短くする
  4. 清潔な衣類を
  5. 口の周りは、ワセリンなどをこまめに使う
  6. タバコの煙は避ける

などが注意点でしょう。

これらに注意するだけでも、皮膚の状態の回復に役立つと思います。

◎ ワセリンはAmazonでも購入できます:

夏は湿疹が悪化しやすいので要注意です

夏場はアトピー性皮膚炎が悪化しやすい季節です。
「汗」や「紫外線」の対策をしっかりとしましょう。
汗や紫外線は皮膚に刺激があるため、皮膚の状態が悪化しやすくなります。

夏の皮膚対策

対応策として;

  1. 清潔と保湿
  2. 日焼け対策(帽子&日焼け止めクリーム)
  3. プール後はしっかり流し、スキンケアをする

が中心になります。
プールには塩素が含まれているため、湿疹を刺激して悪化させてしまうことがあるため、注意が必要です。

 

冬は乾燥に気をつけましょう

冬は乾燥肌になりやすいです。
湿疹がでていなくても、保湿剤を使用して乾燥を防ぎましょう。

対応策としては;

  1. 1日2回以上は保湿をする
  2. エアコンは乾燥しやすいので適度に加湿する
  3. 窓などの結露はカビが生える原因になるので、こまめに拭き取る
  4. カーペットはダニのすみかになるので、こまめに掃除する

があります。

◎ おすすめの保湿剤はこちら:

かゆくて我慢できないです

まず大事なことは、痒みの原因となる湿疹のコントロールを良くするのと、悪化因子をさけることです。

かゆみの対策としては;

  1.  汗をかいたら着替えやスキンケアをする
    (できるように学校や幼稚園・保育園に相談する)
  2. 熱い風呂は避ける
  3. かゆいところは冷やしてあげると和らぎます
  4. 全身であれば痒み止め(抗ヒスタミン薬)を飲む

が対応策としてあります。

Dr.KID
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かくと皮膚が荒れるので、悪循環に陥ります。

アトピー・ビジネスに注意しましょう

巷にはアトピービジネスが沢山あります。
『〇〇をしたら、アトピーが治りました』を謳い文句にして、塗り薬や飲み薬を販売しています。

ですが、これらの多くに根拠はなく、多くの場合はただの商売です。

正しい情報を見分ける方法

見分ける方法としては、きちんとした臨床データがあるかどうかを見ましょう。

科学的根拠のある治療法であれば、何人の患者に薬を使用して、そのうち何%の人が治ったのか、などきちんとしたデータが提示されています。
そして『根拠があり、私たちが信頼してよいデータ』は必ず英語論文にされています。

ですので「アトピーが治った」という治療法が論文化されているか確認されるとよいと思います。

Dr.KID
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先ずは、何人に使用して、何人に有効性があったのか、を意識して情報に接すると良いでしょう。

こんな宣伝文句に気をつけましょう

アトピー・ビジネスの宣伝文句には一定の傾向があり;

  • 特別にご用意しました
  • ステロイドは入っていないので安心です
  • 多くの患者が絶賛
  • 特別価格で提供中
  • よくなった●●さんの声

などが書かれていることが多いです。

標準的医療なら「特別にご用意」する必要などありません。
みなさんに効果のあるものですから、広く治療として使われているはずです。

Dr.KID
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甘い謳い文句に騙されないように注意してください。

「ステロイド=悪」と安易に考えるのもやめましょう。
外用薬のステロイドは正しく使えば副作用は怖くありません。

 「多くの患者が絶賛」とありますが「誰でしょうか?何人でしょうか?」とツッコミたくなります。

「●●さんの声」も単に1例のみの報告です。

医療では何万人を対象として臨床試験をしています。
1人のデータより何万人を対象にしたデータのほうが信頼できるのは明らかです。

このように、アトピー・ビジネスの謳い文句には十分に注意したほうがよいでしょう。

ダニ対策について

ダニの糞(フン)や死骸の粉がアレルゲン(アレルギーの原因物質)になります。
ダニ対策の基本は「こまめな掃除と洗濯」です。

1.ふとんについて

ふとんは、よく干して乾燥させましょう。
干した後は掃除機をかけるとよいと思います。

ただし、掃除機の排気が室内にあると、室内にダニなどをバラまいてしまうため、排気は室外に向けましょう。

もし、花粉がアレルゲン(アレルギーの原因物質)の場合は、外に干さないようにしましょう。

 

2.ぬいぐるみ・クッションについて

ぬいぐるみやクッションにはダニが住みつきやすいです。
丸洗いできるものを購入されるとよいでしょう。

Dr.KID
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意外と気づかれないことがあります。

3.ソファーについて

布製のソファーはダニのすみかになりやすいです。
革製品や合成皮革のソファーのほうがダニ対策としては良いでしょう。

4.カーペットについて

カーペットもダニが住みやすく、ダニの除去が難しいため、できるだけさけたほうがよいでしょう。
カーペットを使用しているなら、こまめに掃除機を丁寧にかけるようにすると良いと思います。

 

カビ対策について

最後はカビ対策について説明します。
カビは湿度の高い場所、気が多い場所を好みます。
十分に換気して、風通しをよくしましょう。

1.トイレ・お風呂場・キッチンまわりについて

換気を十分にしましょう。 また、汚れをまめに落とすようにするとよいでしょう。
流しや三角コーナーに汚れがつきやすいので、きれいにするように心がけましょう。

 

2.洗濯機について

洗濯機の内側にカビが生えやすいです。
まめに掃除をするようにしましょう。

3.窓について

結露の対策をしましょう。
窓の冊子に汚れが溜まりやすいので、マメに掃除をするようにしましょう。

4.エアコンについて

フィルターにカビが生えやすいです。
マメに掃除をするとよいでしょう。

5.おしいれ・タンスについて

毎日おしいれを開けて、こもった湿気を外に追い出すようにしましょう。

タンスは壁側(つまり裏側)にカビが生えやすいです。
壁から離して置くようにするとよいでしょう。
引き出しも、時々開けて、風を通すようにしましょう。

Dr.KID
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家庭環境を一通り見直すことも重要ですね。ですが、神経質になりすぎないでくださいね。

まとめ

今回は湿疹や乾燥肌のあるこどもの注意点について説明してきました。

  • 悪化因子を避ける
  • かゆみに対処する
  • アトピービジネスに気をつける
  • ダニ・カビ対策

がポイントとなります。

Dr.KID
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本日のポイント!

 
ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。